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【連載小説】ガンズグロウ vol.30「秘密のメール」

布団に潜り込んでからも、ずっと眠れずにいた。


そもそもなんでタツキがまおちゃんの連絡先を知ってるわけ?

こないだの成人式のときか……

好きなんですって、タツキを?

諦められないって、タツキを?


頭の中で堂々巡りして、わからなくなる。


成人式のときに、まおちゃんメアドのやり取りなんてしてたかな……

お酒の勢いもあって馬鹿フザケしていて、あまり覚えてない。

確かに、タツキの隣に最初はいたけど、後半はトイレ行ったりして順番はぐちゃぐちゃになっていた。

よくよく思い出してみると、最後の方はまおちゃんがタツキの横にいた気がする。


私は結局寝つくことができなかった。



大学へ行くが、講義の内容を思い出せない。

仕方ないので友達にノートを借りて写した。


大学の友達に、まおちゃんのことを相談してみた。

「それちょっとふざけてない?」

「そうだよ、そうだよ!」

「人の彼氏に手をだすなんて最低な女のすることだよ!」

「殴り込み、いく?」

あまりに話が進展しすぎて、さすがの私も止めた。

「まあ、何か悩み事相談にしても、さやかを通さないのはおかしいしね」

「これは黒だね。だってさやかの彼氏って見た目だけは抜群じゃん」

はいはい、見た目だけね……


とにかく大学でも怪しいという結果が出た。


しかし、事の本意をどっちにどう聞くべきか。

それもまた悩みどころだった。


確かに、まおちゃんは成人式のときに、

「さやかの彼氏かっこよすぎ!」

とかべた褒めだったことを思い出した。

まさかね……

まおちゃんは一番の親友だった。

人の彼氏を寝とるような、そんな子ではなかった。


これはタツキに聞くべきだろう。

でも、なんて聞こう?

携帯を見たなんてことを言ったら、私は最低の女になってしまう。

でもこのままでいるわけにはいかない。



タイミングは意外にも早くやって来た。

タツキにまたメールが入ったのだ。

今回もチラ見して返事をしないタツキ。

私はできるだけ自然に、

誰から?と、聞いた。

タツキはまた「友達から」

と言った。

私はタツキの携帯を取り上げにかかった。

タツキは嫌がった。

必死の抵抗だった。


負けじと取り上げることに成功。


中をみると、また受信箱に一件のメール。

どうやら、メールが来るたびに削除している模様。

余計にあ・や・し・い。



メールを開くと案の定まおちゃんからのメール。

更に開くと

『私、振られたら死んでしまうかも。タツキさん、助けて』

とある。

頭に血が上った私はタツキに怒鳴り付けた。

「これ、どういう事?なんでタツキくんがまおちゃんの連絡先知ってるの?」

「連絡先は成人式の日に交換したよ」

焦るタツキ。

「好きだの諦められないだの、これはどういう意味なの?」

少し間があって、ため息をつきながらタツキは説明した。



「まおちゃん、すごく年上の人に恋しているんだ。相手は家庭持ちで……さやかちゃんに言うと断固反対されるから秘密にしてほしいって。でも、相談すること自体はさやかちゃんもOKしたって言ってたよ」

私、そんなことOKしたっけ?

そういやカラオケの時に、さらっときかれたような……

うすら覚えだった。


でも、確かに私に相談したら、即却下しそうな内容だ。


「じゃあなんで携帯を渡さなかったのよ?」

「それは、男の浪漫やらが詰まっているというか……とにかく見せれないよ」

そういうタツキをよそに、画像ボックスを開く。


理由は一発でわかった。

そこには二次元女子のあられもない画像がたくさんだった。


「もう、タツキは変態なんだから!画像は全て削除ね!」

「それだけは勘弁してくださいー!」

画像は結局そのままだった。

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