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【連載小説】ガンズグロウ vol.29「浮気・・・?」

成人式が終わると、すぐにタツキの誕生日だ。


タツキの身の回りをチェックして歩き、厳選したプレゼント。

これならタツキも満足っしょ!

と、私には相当自信があった。


あいにく、二人してラストまでのシフトだったので、一生懸命早く終わるように努力した。

努力の甲斐あってか、10時半には終わることができた。



今日の夜はうちで過ごす予定だ。

まかないを食べたので、軽いものを作ろうと、パスタを買って帰った。


タツキがそわそわ落ち着きない。

どうしたの?と声をかけると、こうして祝ってもらうのが初めてらしい。

いや彼女いたことないんだったね…

いらないことを思い出してみる。


よぉし、それなら盛大なパーティーにしよう。

と、二十四時間あいているスーパーで、残っている寿司を買い漁った。

缶酎ハイもたっぷり購入。


これで良いだろう!

と、タツキの自転車にも荷物満タンでお店を後にした。


帰ってから準備に忙しかった。

「なにか手伝おうか?」

と聞かれたが、主賓は座っててください、とガンズグロウを与えた。


タツキが台所に来て言う。

「ゆらぎにもみなもにもおめでとうって言われちゃった!」

そりゃそうだ。

私がみんなにメッセージしておいたのだから。


携帯の着信音が鳴る。

タツキの携帯だ。

タツキは携帯を見るとすぐに閉じてしまった。

誰からか気になったが、ご飯の準備に気をとられて忘れてしまっていた。


いよいよご飯の時間。

まずはホールケーキに蝋燭を立て火を消すところから。

しっかり写真を撮っていた。


次にプレゼント作戦。

タツキにプレゼントを渡すと、目を輝かせて、開けてもいい?と聞く。

どうぞどうぞと促す。

「わ、これは……きゅんきゅん特選隊のレア画像集!こちらはさくらのレア下敷き!どうやって集めたの?!」

非常に喜んでいるようで、よかった。

「これはね、ネットに張り付いて探したんだよ!大事にしてほしいな」

「もちろんだよ!」

この日はホントにいい日だった。



後日。

なにかをタツキが隠してる。

それはわかっているのだが何を隠す必要があるのだろう?

思い起こせば、数日前、携帯を見たのに返信しなかったことがあった。

迷惑メールが嫌いだからと言って、ポイントメールさえしないタツキ。



迷惑メールではないな……でも別に隠すような素振りもなかったかな……

とにかく行動が不審だ。

今までこんなことはなかったのに……


私はタツキが見ていない間に携帯をチェックしようと、タツキの隙を狙う。

しかし、なかなか隙がない。

トイレに行くときも携帯を持っていってしまうため、なかなか見ることはできなかった。


私は

「タツキくん、最近隠し事してるでしょう?」

とかまをかける。

「え?なんのこと?」

いつものタツキスマイルで誤魔化してしまう。


これは本格的に怪しいと、タツキにうちに泊まっていかないかと持ち出す。

うちにいる間に少しくらい隙ができるだろうと算段したのだ。


タツキは

「お泊まりいいねぇ!」

と言い、素直にやって来た。


やはりトイレに行くときも携帯を持っていってしまう。

なかなか隙がない。


そんなとき、またしてもタツキにメールが入る。

タツキはメールをチラリと見たきり、放置している。

「メールの返事、しなくていいの?」

「うん、大したことじゃないから」

またしてもメールに返事をしない。

「誰から?」

「ん?うん、友達」

「へぇ、友達、ねぇ」

ご飯を食べ終わり、しばらくしてから

「俺風呂に入ろうかな」

と言い出す。

私の部屋の風呂場は狭いため、一人ずつしか風呂に入れない。

これはチャンス!とばかりに私はタツキに風呂を促した。

脱衣場で脱ぐ音がする。

やがて、扉の音がして、シャワーの音が聞こえ出す。

私はこっそり脱衣場に入り、携帯を探した。

私のフォルダ以外は全て受信箱に入ったままになっているようだ。


私は受信箱を開いた。

一件のメールがはいっている。

宛先は『まおちゃん』。

中を開くと、

『だって、好きなんです!諦めるなんてできない!』

と書いてある。

その時シャワーの音がやんだので、私はさっと携帯を戻すと、

「バスタオルここに置いておくよー」

と声をかける。

「ありがとう」

中から返事がする。

気づいていないようだ。


私は脱衣場を出ると、胸に手を当てた。

まだドキドキしている。

まおちゃんって誰?

今のメールは何?

諦めるってタツキのこと?

タツキは何を隠してるの?


だんだん胸が痛くなってくる。


タツキにはまだ黙っておくことにした。



一時を過ぎて就寝した。

けれど、私は眠れなかった。

二時をまわり、タツキの寝息が聞こえる。

私はそっと起き出すと、再びタツキの携帯を取る。


開けてもう一回メールを確認する。

相手のメアドを確認する。

どこかで見たような……


そこまで確認すると、私は私の携帯を取り出す。

手が震える。

自分の携帯から『まお』のアドレスを確認する。

やっぱり。

確認したメアドは一致していた。


タツキがまおちゃんと秘密のメールをしている。

私はタツキの携帯を元の位置に戻すと、また布団に潜り込んだ。

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