【ショートショート】あなたのキスは今宵の月のように冷たい
夜の闇が静かに街を包む中、私は一人で歩いていた。蒸し暑い夏の夜で、汗が背中にじっとりと張り付いている。そんな中、私は彼と待ち合わせていた。彼の名前は亮。私たちの関係はもう何年も続いているけれど、最近は何かが変わってしまったように感じていた。
公園のベンチに腰を下ろし、空を見上げる。月が冷たい光を放っている。夏の夜にしては珍しいほど涼しげで、どこか寂しげな月だ。しばらくすると、亮が現れた。彼の顔はいつも通りの無表情だった。
「待たせた?」彼は短く尋ねた。
「ううん、今来た