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ナイトドライブ

星が眩しい夜に、車を走らせてどこか遠くへ行く

そんなこと、子どものときには憧れもしなかった

でも、大人になって、星灯(ほしあかり)の美しさに気がついて

その日から、夜に車を走らせる感動を覚えた

夜、最後の上映を見終えた家までの道

同僚と遅くまで飲んだ 明け方の道

一人でどこまでも行けると思った あの日の道

どの道にも それなりに思い出があって

どれも忘れたくないと思える

そんな事

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「りんご飴をかじる」

りんご飴をかじる

紅い部分がなくなって、中身の黄色い部分がむき出しになる

りんご飴をかじる

砂糖が口の中で貼りついて、ちくちくし始める

りんご飴をかじる

おいしいと笑みがこぼれる

それを見て、君は笑う。

「私も買えばよかった」と悔しそうに

「買ってくれば?」と小銭を差し出すと

「やっぱいいや」と笑う

そのどっちつかずの君が好きでした

いつまでもその笑顔を見ていたかったけれど

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ただの紙袋

ただの紙袋で、笑顔になれる世界がある

ただの紙袋で、混乱する世界がある

ただの紙袋で、人が死ぬ世界がある

ただの紙袋、それだけのちっぽけな存在なのに

「世界」という大きなものを、こんなにもひっくり返したり、動かしたりできる。

風に吹かれて飛んでいっても、飛んでいった場所でまた、「世界」をひっくり返しているかもしれない。

だから、ちっぽけな僕でも

「世界」をひっくり返せる

そう信じて

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世界を救う ~君の前では~

世界を救うなんて、画面越しのコスチューム男はいうけれど

現実とテレビは違う

救おうという意思があれば

誰でも英雄になれるなんて

そんな絵空事

だけど コスチュームを着てみれば

鏡に映るのは 英雄の姿で

少し気持ちが高ぶって かっこつけて 

君に笑われたりなんかして

「あなたは私のヒーロー」とか言ってくれる君の前では

素顔のまま 怪人と戦っている僕がいる

君の前では、永遠にヒー

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「半径何センチという狭い世界で生きる」(詩)

この世界はいつもちっぽけで

いつも人に、お前は世界が狭い、と言われる

けれど、小さい世界こそ、住みやすい

大きい世界になればなるほど、窮屈だ

人が増えると争いも増える

ならば、狭い世界で細々と生きていたい

僕はそう思って、今日も争う人々を眺めている