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デジタルマーケ完全AI化まであと3年→今マーケターがやっておくべきこと

こちらの記事は主にマーケター向け(特にマーケティングコミュニケーションの中でもデジタル広告を担当されている方向け)に来たるAI時代に向けて準備すべきことを紹介します。


●自己紹介
・私はデジタルマーケティングを中心に企業のマーケティング部門に15年在籍し、広告プロモーションの全体企画・ディレクションを行なってきました。
・転職も何回かしておりまして、在籍した企業の規模は10名程度のベンチャーから100名規模、1000名規模、今は社員数2万人以上いる、いわゆるナショナルクライアントの宣伝部門で部門長を務めています。
・その意味でいろんなサイズでのプロモーションを経験しておりますので多くの方に共感いただける記事を共有できると思います。


デジタルマーケティング完全AI化はいつ来るのか?

デジタルマーケティングといってもその領域は広いですが、ここでは特にデジタル広告に絞って話を進めます。
デジタル広告の出稿には大きく10個の工程があります。

デジタルマーケティング作業工程

  1. 目的策定(例: 化粧品XのECでの販売)

  2. 予算策定(例: 5,000万円)

  3. KPI策定(例: 化粧品X 1000個の自社ECサイトでの販売 / CPA1万円)

  4. ターゲット設定(例: 40-50代 富裕層)

  5. クリエイティブ制作

  6. メディア選定(メディアプランニング)

  7. 各メディアへの入稿

  8. 運用(メディア予算リアロケーション/バナーの出し入れ)

  9. レポーティング作成

  10. 次のアクション策定

現在、この工程の中でAIに完全に置き換わっているものはあるでしょうか?
答えは「No」です。
多かれ少なかれ、人が主導して実行しています。

2024年の現在、AIが活用されている場面としては、以下のようなものが挙げられます。

  • ターゲット設定:CHATGPTなどでの販売したい商品のペルソナ策定のためのアイデア出し

  • クリエイティブ制作:CHATGPTなどでの消費者に伝えたいメッセージやコピーの案出し

実際にはこの程度にとどまっています。

では完全にAI化されるのはいつか?

2024年6月に行われたソフトバンクグループの株主総会で孫正義社長が予言したところによると、3年後(2027年)にはAGI(Artificial General Intelligence)が誕生すると予想されています。

孫正義はAGIが3-5年以内/ASIが10年後に誕生すると予測


現在のAIはせいぜい医師免許試験の上位に来る程度の「頭の良い人」レベルです。しかし、AGIは人の叡智の10倍の知恵を持ち、司法試験や医師国家試験を軽々と満点で通過するレベルです。人よりも高い精度でタスクをこなせるようになります。

さらに10年後にはASI(Artificial Super Intelligence)が誕生し、人の10,000倍の叡智を持つとされています。(この記事ではAGIに焦点を当てて話を進めます。)

3-5年後AGIの時代が来たら、デジタル広告の工程のうち、以下の3つの工程を除いて完全にAIが担当することになるでしょう。

AGI誕生後も人が行うことは以下のような意思決定が伴う工程のみになると予測します。

  1. 目的設定(例: 化粧品XのECでの販売)

  2. 予算策定(例: 5,000万円)

  3. KPI策定(例: 化粧品X 1000個の自社ECサイトでの販売 / CPA1万円)

つまり、人がやることは「化粧品XをXX万円の予算でXX個売ってくれ」とAIに指示するだけです。
途中の作業はすべてAIが行う世界が訪れます。
飛行機の自動操縦のように、AIは目的に沿ってクリエイティブを制作し、メディア選定を行い、運用を進めます。
現場でデジタル広告を運用する私も、この状況が3年後に実現する可能性を感じています。

3年後 | デジタルマーケティングがAI化されるとどうなるか?

これまで人間が担っていた10の工程のうち、7つがAIに完全に置き換わる世界では、確かに人間の工数は圧倒的に減ります。
人間の役割はAIに目的と資源(予算)を伝えるだけになります。

AIによってマーケティングの効率(低単価で顧客を獲得するなど)が向上する可能性があります。これまでは熟練のマーケッターと新人がディレクションする施策には効率の差がありましたが、今後は誰がやっても同じ結果を出せるようになります。

デジタルマーケのAI化で企業間のマーケティング効率の差はなくなる?

しかし、私は「AIをうまく活用できるかどうか」で企業の勝敗がよりくっきりと分かれると考えています。誰がやっても同じ結果になるからこそ、顧客の奪い合いがさらに加速するでしょう。

熟練のマーケターにしか到達できなかったターゲティングやクリエイティブが、全国どこでも誰がやっても同じレベルで実行されるようになります。

ではどうやって企業間でのマーケティング効率の差を作っていくか?

ここでのキーワードは「独自学習」です。つまり他社にはない学習データをAIに与えることで、AIの推論の精度を他社にはない形で上げることが重要です。

具体的には、自社にしか持っていないデータ(1stパーティデータとも言えます)、企業固有の購入/契約者の詳細なデータをより多くAIに与えることが勝利の鍵となります。
AIはそこから購入者に似た人を探し出し、デジタルマーケティングをプランニングし、実行するのが得意です。

ただし、これは簡単なことではありません。

  • 企業のセキュリティポリシー上、契約者情報をAIに提供できない

  • データはあるが、定義がバラバラでAIが解析できるデータセットになっていない

  • そもそも契約者のデータ量がAIが解析するに十分ではない

これらの課題を3年後に向けて解決していくことがデジタルマーケターに求められます。
具体的には:
セキュリティポリシーに適したデータ提供の仕組みを構築し、データの整理と統合を進め、解析可能なデータセットを整えることが必要です。
これにより、企業はAIの力を最大限に引き出し、マーケティング活動において競争優位を築くことができるでしょう。
3年後のAI時代に備え、今から行動を開始することが重要だと感じます。

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