私的電通考:日本型広告代理店の将来はメディア Vs.クリエイティブやトラディショナルVs. デジタルメディア、などの2軸ではなくサービスモデルから考えていきましょう。
Newspicksの記事が面白かったので自分なりに電通=日本型広告代理店モデルの現状をまとめてみました。
Newpicksにコメントしたの私的分析をこちらにも投稿します。
皆さんのご指摘もお待ちしております。
電通(日本の広告ビジネス)の将来を考えるときに3つの視点で見ています。
サービスモデルから考えよう
電通が日本で作り上げた①サービスモデル②報酬体系③行動様式をどうやって進化させて大きく成長しない日本を後に世界で戦うかということに注目しています。
①サービスモデル:日本型広告ビジネスのルールーメイカーの電通が提供するサービスは営業を頂点とした垂直統合型モデルです。日本のものづくりにも共通する「擦り合わせ」を前提にした社内のインテグレーションが強みです。
得意先のマーケティング(広告宣伝)の専門性の欠如を一括で受け取る巨大なアウトソーシング先として存在します。
よろずもめごとは全て飲み込む体制と体質です。
海外のエージェンシーはCMOのパートナーとして機能します。
競合排除もありグループ内をバブ&スコープでつなぐ水平方向に統合されたワンルーフモデルです。
営業のリーダーシップはコンサートマスター型になります。
次は報酬体系=ビジネスモデル
②報酬体系
電通は海外から見ると巨大なメディアエージェンシー的な性格を持っています。
メディアは許認可業務の側面を持っていることや、ユーザー、コンテンツなどで、その国に土着する傾向がある。日本で広告モデルでメディアを支えた電通の報酬体系は得意先から見ると「お得」です。
同時に大きなトップラインとリベートで優秀な人材を雇える=サービス最大化のメリットがあります。
この成功体験は日本でしか通用しないのも事実。
海外では人件費モデルな上に、グローバルクライアントが北米で例えばメディアビジネスに強みがある日本の出身の電通からクリエティブサービスを受けようとは思わない→そこで海外はイージスグループなど別軸に移行しています。
総合広告代理店の営業マインドセット
③行動様式は得意先広告費(メディア費)のシェア争いが動機です。
得意先ないシェアの最大化のためにノンメディアビジネスや超メディアビジネスを追いかけます。
電通が作った日本の広告ジャングル・生態系においては博報堂は電通の亜種であって、得意先シェアを追うことを動機としています。
得意先シェアを拡大するために電通が追わない領域、例えば伝統的にはクリエイティブ、近年はデジタルなどを先行させます。
得意先にとって博報堂は「選択肢」を与えてくれる存在であり、博報堂のこの市場での価値です。
シェア争いは得意ですが、サイバーエージェントのように「飛び込み営業」は日本の広告代理店は苦手です。
そのサイバーもメディアビジネスでは海外での展開は簡単ではないです。
コンサルティング=人件費モデルを目指す?
メディアビジネスからコンサルビジネスへ日本国内を大きく移行させるのは、③の遅れを取り返し、②において収益モデルを人件費モデルへ移行させて、①のグローバルビジネスをより大胆に進める方針、というのが僕の見立てです。
日本型総合広告代理店の将来を考える視点
電通がつくり彼らのビジネスに象徴される日本の広告業界を見るときは、メディア Vs.クリエイティブやトラディショナルVs. デジタルメディア、などの2軸ではなくサービスモデルで見ることをお勧めします。
電通=日本の広告ビジネスの将来を考えるときに上記の3点を意識しての以下の3つの視点で読むことをお勧めします。
日本市場で起きている戦いを前提に将来を考えてしまうことは日本の広告ビジネスの可能性を見逃してしまうことになります。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは、また。
電通の国内サービスについての考察です。
日本の広告業界の展望についてです。
博報堂の不正請求問題についてはこちらを。
広告業界とコンサルティング業界の競合について書きました。
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