病気では死なない社会になる?高齢化はますます課題になる!

昨今、医療技術の躍進は目覚ましい。大阪大学は、iPS細胞のシートを心臓に移植することで、心臓病を治すところまで技術が進歩している。

HIV(ヒト免疫不全ウイルス、エイズ)は、かつては必ず死ぬと言われたが、ウイルスの死滅は無理でも、発病を抑えることは可能になった。

癌についても、手術できない部位、例えば脳などに転移されると以前は手のうちようがなかったが、最近では様々な新しい治療法が生み出されている。

特にiPS細胞は万能細胞といわれ、自分の細胞からiPS細胞をつくれば、臓器移植とは異なり、ドナー不足や拒絶反応のデメリットもない。ただし、iPS細胞による治療は高額であり、まだまだ課題は多い。今後、保険診療として認可され、さらにiPS細胞の増殖を高速化できれば、安価な治療も可能になるのかもしれない(素人なのでわからないが)。

病気以外でも、自動車事故は減少傾向だし、自動運転が実用化されれば、ほとんど交通事故は過去のものとなるかもしれない。

残された課題は、自殺だ。交通事故と病気を除くと、死亡原因としては自殺が日本では多い。国民の精神を安定させ、幸福度を高めることが必要だろう。あとは、飲酒や喫煙などの生活習慣だが、中高年と比較して、若者は飲酒も喫煙も好まない傾向があり(これはデータもある)、ますます健康的な国民が増えると予想されるので、私は楽観視している。

寿命が延びても、今度は問題になるのは、頭脳と身体の健康寿命だ。認知機能が低下したり、身体が動かなくなる高齢者はまだまだ多い。そのため、「寿命さえ延びれば良い」というのは間違いだ。頭脳も身体も衰えた高齢者が介護施設にあふれかえるようになれば、介護士はますます人手不足になる。そして、無理に介護士を賃上げしすぎると、今度は他の事業から労働者を吸収する作用が起きて、経済学的には生産性が低下する。

何も、私は、働けなくなった高齢者はお荷物だと言いたいわけではない。だが、どんどん高齢者が増えて、若者が減少すれば、経済成長しなくなるリスクがあるのだ。かといって、江戸時代のような姥捨山のようなことは、人権問題になるので不可能だ。

むしろ、寿命だけが延びて、頭脳と身体が衰弱した人が増えていくので、医療の高度化はディストピアのように思える。しかし、倫理的な理由から、どうもこのディストピアを避けることは不可能であると思われる。

人間の頭脳や身体が衰えるきっかけは何か?それは、定年退職だと私は思う。働くことを完全に辞めると、頭も身体も使わなくなる。アルバイトでもいいので、働き続けることが認知機能と身体能力を守ることにつながるだろう。FIREはやめたほうがいい。

また、趣味も良いと思う。高齢者サークルなどで人との交流をすれば、認知機能は衰えにくいだろう。高齢者が大学に入り直したり、高齢者専用のスポーツチームなども良いと思う。そのうち、ライザップが高齢者専用サービスを始めるかもしれない。

とにかく、寿命を延ばすだけではなく、いかに高齢者がイキイキと、元気に過ごせるのか?これを社会として考えないと、日本は本当に「オワコン」になってしまう。移民を入れれば良いと安直に考えてはいけない。日本語教育や、社会に溶け込める配慮(例えば、イスラームの文化を日本が受容する)をしないと、欧米のように治安悪化やテロなどが起こり、極右勢力が台頭してしまうだろう。

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