オワリはじまり27 「おふくろの味を昼休憩に食す」

12月8日の昼休憩、僕は我が家から持参したおにぎりを2つ食べた。
現在働いている会社では、なぜかお昼ご飯に自宅から持参した手作りおにぎりを食べている人が多い。

その理由は至ってシンプル、「時間がない時に片手で食べることができる」というものだ。
確かに教育係のKさんも社長も休憩時間中と思える時間帯もドタバタしているし、僕も稀に12時ジャストに休憩!と行かず、5分とか10分に休憩に入ることもある。

でも、我が社は基本的に「休憩時間中はきちんと休むべし」という風潮なので、僕はその慣わしを真似る必要はないのだが、節約も兼ねて起床→出勤の間に時間があればおにぎりを作るようにしている。ちなみにこれまで僕がおにぎりの具材として入れたことがあるのは梅干し、野沢菜、高菜、そしてぶらぶら漬けという長崎発祥の漬物。これらの具材はおにぎりの具材として食べるのはもちろん、おつまみを買い忘れた日の夜にビールのあてと化す。

そんな「おにぎり持参生活」だが、最近はおにぎりを作ることをサボりがちになっていた。
朝が弱い僕はどうしても出発時間ギリギリまで寝てしまう。
今冬は暖冬で今日も日中は長袖1枚で過ごせるとはいえ、朝は通常の12月の気温。
おにぎりを作るために少し早めに起床するぞ!という気持ちよりも、寒くて布団から出たくないという気持ちが勝ってしまう。誘惑に負けた日には、昼休みに会社と隣接しているコンビニでカップラーメンorおにぎりと揚げ物orパンという選択肢に飲み物を買ってしまう。最近はそんな日が続いてしまった。

午後から炭酸飲料を飲むことはリフレッシュになるので必須なのだが、それ以外の出費が結果的にかなり多くなってしまった。

これではまずいと思った。
そして僕は次に入れるおにぎりの具は何にしようと考えた際、以前母親と住んでいた時に母がよく作ってくれた僕にとって「お袋の味」であるとあるおにぎりの存在を思い出した。

その名も「生ハムにぎり」
母から直接作り方を教えてもらったことはないが、作り方は見た目で想像できた。
作り方は本当にシンプルでお茶碗の上にラップを乗せた後、生ハムの切り落としを1〜2枚ラップの上に敷き、その上にご飯、最後にまた生ハムを乗せて包むだけである。

このおにぎりは僕が中学生の頃に誕生した。
僕は昔から酒飲みの予兆があったのか生ハムが大好きで、そんな生ハム好きな僕を見た母が「生ハムをおにぎりで巻けば、気軽に食べられるね。」と言いつつ、作ったのが作り始めたきっかけだったと思う。

生ハム本体の塩気がお米に伝わり、生ハムを食べ切った後も塩むすびの味になって本当に美味しい生ハムにぎりだが、僕にとって生ハムにぎりのイメージは不登校だった頃、登校のストレスで腹痛が襲った時に母が「このおにぎりできたてだから、あったかい時はお腹に当てて温めな。」と言った後、おにぎりをもらった僕はホッカイロ代わりに生ハムにぎりをお腹に当てていたという印象が強い。

それから10年以上の年月が経ち、右往左往しながらもどうにか必死に生きている僕は自分で生ハムにぎりを作って会社の昼休みに食べていると思うと、ついいろんなことを考えてしまった。

ちなみに僕は今朝生ハムにぎりを2個作ったのだが、あまりの美味しさから5分ぐらいで完食してしまった。生ハムはおにぎりの具材として少し贅沢かもしれないが、コンビニで「肉が食べたい」という誘惑に負けてホットスナックを買うよりかは経済的かと思っている。これからも定期的に生ハムにぎりをお昼ご飯用に作っていきたい。


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