見出し画像

なぜプロジェクトマネジメントが機能しないのか 15 アサンプション

日本で最初の民間シンクタンクで、プロジェクトマネジメントのコンサルタントとして、ある時はPМ、ある時はPМОとして、お客様と問題解決に取り組んでいます。本記事では、まだPМBОKには書かれていない暗黙知を言語化し、形式知としてお伝えすることにチャレンジしてみようと思います。
マガジン:https://note.com/think_think_ab/m/m0e070db46016

見えない前提条件

「アサンプション」という言葉をご存知でしょうか。

 あまりに自明のため、明確に説明されることのない
見えない前提条件」のことです。

プロジェクトの目標においてもアサンプションが存在します。

例えば、以下のような
プロジェクト固有のそれぞれの目的について

一見異なる内容のものの、
実は、すべての目的に同じ前提条件がアサンプションとしてついています。

・合併会社同士の基幹システムを統合して経営効率をあげること
・顧客サービスの品質を高め、ロイヤリティを向上させること
・AIによる配送ルート最適化を通して配送能力を拡大すること
・業界の共通機能の共有化により、業界全体の効率をアップすること
・自動発注システムの導入により、在庫効率の向上をはかること

それは、
QCDバランスを確保し」という前提条件です。

上述のプロジェクトを含め、
すべてのプロジェクトの目的の最初に説明されるべき前提条件は
QCDバランスを確保することです。

では、
QCDバランスを確保するにはどうすればよいのでしょうか。
QCDバランスが崩れてしまう原因は何なのでしょうか。

原因はプロジェクトにおける不確実性です。
もう少し正確にいうとPMにとっての不確実性です。

不確実性がなければ、前述の前提条件は不要ですし、
極端にいうと、そもそもプロジェクトマネジメントも不要です。

不確実性排除のタイミング

実は、プロジェクトマネジメントとか、何もしなくても、
不確実性はプロジェクト完了時にはすべて明らかになります。

ただし、
その場合、残念ながらQCDバランスは確保されません。

リスクが顕在化しても、
予算やリソースや時間に余裕があって、

リカバリーしてQCDバランスが確保できるタイミングまでに
不確実性を排除すること、それこそがプロジェクトマネジメントの
もっとも重要な機能となります。

リスクが顕在化した後にバタバタと対応することは
プロジェクトマネジメントではありませんし、むしろ
プロジェクトマネジメントが機能していなかったの証でもあります。

余談ですが、対応が後手にまわり、
求められて火事場の火消しを得意とするマネージャーもいますが、
そこではプロジェクトマネジメントとは異なる能力が必要になります。

個人的な感覚ですが、
比較的大きな不確実性は、できれば要件定義工程の完了までに、
あるいは、遅くても設計工程の半ばまでに排除することが望ましく、

そのタイミングまでにリスクを顕在化できない場合は、
関係部門との調整などを含め、リスクの顕在化による手戻りコストが、
それまでの期間と比べて格段に高くなるため、

残念ながら、
QCDバランスが確保できなくなる可能性が非常に高くなります。

でもこういうことは、
よく知られた有名な大手企業でもみることがあります。

みなさんのプロジェクトでは、
不確実性の早期排除(🟰リスク顕在化タイミングの前倒し)を、
プロジェクトマネジメントの最優先の目的にし、

他のどのような要素よりも優先して、
最優先でプロジェクトは設計されておりますでしょうか。

この記事が参加している募集

#PMの仕事

1,194件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?