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なぜプロジェクトマネジメントが機能しないのか 14 タスク管理

日本で最初の民間シンクタンクで、プロジェクトマネジメントのコンサルタントとして、ある時はPМ、ある時はPМОとして、お客様と問題解決に取り組んでいます。本記事では、まだPМBОKには書かれていない暗黙知を言語化し、形式知としてお伝えすることにチャレンジしてみようと思います。
マガジン:https://note.com/think_think_ab/m/m0e070db46016

タスク管理の問題

タスク管理はプロジェクトの基本動作です。
それゆえ、ここで問題をかかえると、
プロジェクト全体で問題をかかえ続けることになります。

よくある問題の始まりはその呼び方です。
そのままタスクと呼ばれたり、Todo、ActionItem、課題、問題、など、
プロジェクトによって、チームによって、さまざまな呼ばれ方をします。

プロジェクトマネジメントが機能していない場合、
それぞれの意味が曖昧なまま、さまざまなタスク一覧の乱立がはじまり、
混乱がはじまります。

最悪の場合、
数百のタスク一覧をみながらの進捗管理が、
結構な人数で、結構な時間をかけて、結構な頻度ではじまります。

みな、無駄な時間と感じつつも、何も言わずに我慢してやっています。
なぜ、こうした事態になってしまうのでしょうか。

それは、
わけて管理すべきものを混ぜて管理してしまっているからです。

管理にあたっての2つの視点

管理の対象となるものは、
プロジェクトマネジメントの目的である不確実性の早期排除との観点から、
次の2つで分けて管理する必要があります。

1.それはQCDバランスを脅かすものか
2.それはどの範囲のものか

1.QCDバランスを脅かすものか

QC Dバランスを脅かすもの、例えば、

要 件:要件の一部が想定と異なっていた。
遅 延:特定の領域に遅延が発生し始めた。
実現性:ある要件の実現方式の目処がたっていない。

などです。

このようにプロジェクトでは、
さまざまな要因が、当初のQCDバランスを脅かします。

本稿では、こうした
QCDバランスを脅かすものを便宜上「課題」と呼ぶことにします。
※プロジェクトによって呼び方が異なりますが、
 私がPМ、PМОを担当する場合は「課題」と呼んでいます。

課題(QCDバランスを脅かすもの)には、次のような特徴があります。

・期限:予定のタスクとは異なり、できるだけ早期の解決が必要
・構成:単純なタスクとは異なり、複数のタスクから構成される
・変化:課題の解決推進によって、タスクの内容が変わってくる

このように、課題は
もともと予定されているタスクとは管理要件が大きく異なることと、
そもそも当初のWBSに記載されるものではないことから
「課題一覧」として、いわゆる「タスク一覧」とはわけて管理します。

ただし、
課題解決のために必要なタスクは、課題一覧の中で管理します。

2.どの範囲のものか

もう一つの観点は、対応に必要なメンバーの範囲が、
・チーム内に収まるものなのか
・チームをまたがるものなのか
です。

それぞれ推進に必要なメンバーの範囲が異なると、
コミュニケーションの範囲も異なるため、

チーム内のものと、
チームをまたがるもの(すなわち全体のもの)とで分けて管理します。

このように、
管理要件の異なる「タスク」と「課題」を分け、
対応要件の異なる「チーム」と「全体」に分けて管理することで、
混乱がなくなり、プロジェクトマネジメントが機能するようになります。

全体の課題管理の主体

ただし、
全体の課題管理については、次のような問題が発生しがちです。

検知の難しさ:チームをまたがる課題は各チームから出てきにくい
推進の難しさ:そもそも課題解決の推進主体があいまい
調整の難しさ:そもそも課題解決にはトレードオフの調整が伴いがち

これらの解決方法については、また機会をみて投稿いたします。

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