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なぜプロジェクトマネジメントが機能しないのか 31 3大不確実性

日本最初の民間シンクタンクで、プロジェクトマネジメントのコンサルタントとして、ある時はPМ、ある時はPМОとして、お客様と問題解決に取り組んでいます。本記事では、まだPМBОKには書かれていない暗黙知を言語化し、形式知としてお伝えすることにチャレンジしてみようと思います。
マガジン:https://note.com/think_think_ab/m/m0e070db46016

目的そのものの不確実性

本記事では、
プロジェクトマネジメントのしかるべき目的を
あらためて不確実性の早期排除と定義し、

第25回までは、
PMBOKのプロセスを説明し、

第26回〜30回にて、
PMBOKにはないプロセスですが、
プロジェクトバッファとアーキテクチャーバッファについて、

同様に、
不確実性の早期排除との観点で説明してきました。

では、実際に、
プロジェクトの不確実性にはどのようなものがありえるでしょうか。

もっとも致命的で、対処の難しいのは、
プロジェクトの目的そのものの不確実性です。

例えば、
・目的が曖昧なままのソリューション導入プロジェクト
・目的が曖昧なままの業務改革プロジェクト
・目的が曖昧なままのDX導入プロジェクト
など、です。

これらは、
大きな粒度のお題目に留めたままにせず、

プロジェクト組成前の上流工程で、
プロジェクト実行時の指針になりうる粒度の目的まで
丁寧に目的と手段の関係を定義することが必要です。

いいかえると、
関係者が総論賛成で一致団結できるレベルではなく、
各論反対が出てくるレベルに目的を落とし込み、

調整や議論が必要になった場合の指針となり得るレベル、
すなわち、目的として(指針として)キチンと機能するレベルまで、
上位層が関わっている工程でしっかりと落とし込んでおくことが必要です。

上流工程で、前述の対応が十分にできていないと、
後工程でしっかりやるのは絶望的に難しくなります。涙

余談ですが、
プロジェクトそのものの目的の問題と、それへの対応については、

山口周さんが、その著書、
外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント」の中でも
 語っているので、ご参照ください。

3大不確実性

では、
それ以外にはどのような不確実性があるでしょうか。

特別なプロジェクト条件がなければ、
たいていの場合、以下の3つが比較的 粒の大きな不確実性となります。

1.スコープの不確実性
  ユーザ部門と開発部門のミスコミュニケーションの問題。

2.実現性の不確実性
  スコープの実現可能性の問題。
  → 設計工程ではなく、前倒して要件定義工程で並行対応することで、
   不確実性の早期排除をはかる。

3.チーム間の整合性の不確実性
  チーム間のミスコミュニケーションの問題
  → チームにまたがる問題が、ポテンヒットになりそうな場合は、
   できるだけ早いタイミングから、(PMやPMOが)問題状況を
   可視化し、組織間調整を通して、不確実性の早期排除をはかる。

上述2、3については、
対応方法をこれまでの記事の中で、説明してきましたが、
(輪郭程度の説明で心苦しくはありますが^^;)

1については、
十分に説明できておりませんでしたので、次回以降で説明します。

ちなみに、
1.の問題には次のような特徴があります。

スコープの定義は要件定義工程の対象ですが、、、
曖昧な基準:要件をどこまで定義すれば、定義が十分かの基準が曖昧。
曖昧な責任:その基準の明確化責任が、ユーザ側なのか開発側か曖昧。
異なる言葉:文化や言葉の違いでユーザ側と開発側の会話が合わない。

次の記事(32回)


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