見出し画像

なぜプロジェクトマネジメントが機能しないのか 09 タスク管理の限界

日本で最初の民間シンクタンクで、プロジェクトマネジメントのコンサルタントとして、ある時はPМ、ある時はPМОとして、お客様と問題解決に取り組んでいます。本記事では、まだPМBОKには書かれていない暗黙知を言語化し、形式知としてお伝えすることにチャレンジしてみようと思います。
マガジン:https://note.com/think_think_ab/m/m0e070db46016

タスクの量

第8回では、
WBSの縦に並ぶタスクの全量がプロジェクトのQと述べました。
では、プロジェクトのタスク数はどれほどの量になるのでしょうか。

例えば、1億円のプロジェクトの場合、
リソース単価を100万円/月とすると全体で100人月となり、
1タスクの粒度を1週間とした場合、タスク数は400となります。

同じ条件では、
2億円で800タスク、5億円で2,000タスクとなり、
ひとつひとつのタスクに開始日・終了日を設定していくことは、
とても大変な作業になり、それらを変更することとなると、
さらに大変な作業になります。

プロジェクトの開始当初は、
1タスクの粒度は1ヶ月程度でも構いませんが、

直近3ヶ月〜6ヶ月のタスクは、
1タスクの1週間程度の粒度での管理が必要となり、
結果的に、前述規模のタスク数の管理が必要となります。

この規模になると
エクセルでの管理(開始日・終了日管理)は現実的ではなく、
実際に管理が機能していることはほとんどありません。

実際には、
計画変更作業が甚大で大変なため、計画を見直さないという
本末転倒な状態も発生します。

こうして、
プロジェクトの実情がWBSに可視化されることはなくなり、
潜在的な不確実性(=リスク)は摘出されないままとなります。

エクセルによるWBSは実質的に手作業による管理のため、
管理できるタスク数やWBSの変更に限界があります。

では、
これらのタスク管理はどのようにすればよいのでしょうか。

タスクの自動配置機能

エクセルの場合、
ひとつひとつのタスクに開始日・終了日を設定する必要がありますが、

MS Projectでは、
ひとつひとつのタスクに開始日・終了日を設定しなくても、
タスクのリードタイムと先行関係を設定することで、
タスクがWBSに自動的に配置されます。

また、
課題が発生してタスクが追加になったり、
見込み通りの生産性がでずに、リードタイムが伸びた場合も、

MS Projectでは、
関連する他のタスクの開始日・終了日をひとつひとつ変更する必要はなく
該当タスクのリードタイムを変更するだけで、
他のタスクは自動的に配置が変更されます。

こうした自動配置機能によって、
数百、数千のタスク管理が可能になります。

MS Projectの留意点

前述のように便利なMS Projectですが、
以下のような留意点もあります。

1.ガントチャートの見た目がわかりにくい

ガントチャートの初期値の見た目は、とてもわかりにくいですが、
カスタマイズすることで、十分にわかりやすくすることが可能です。

2.1枚に全体を収めるような一覧表示しにくい

印刷機能の印刷対象期間の設定や、フィルタ機能などで、
WBS全体を1枚に収めるようにすることが可能です。

3.開始日・終了日を設定しないと思うようにタスク配置できない

「できるだけ早く」「できるだけ遅く」以外のタスクの配置属性の活用や
 タスクの先行関係の期間設定によって、開始日・終了日を設定せずに、
 思うようなタスク配置が可能です。

補足:MS Project
今回は、MS Projdectの機能に触れた回となりましたが、
記事だけでは不明な点などあると思いますので、
ご不明な点などありましたら、個別にお問合せください。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?