【お悩み相談】相手を思ってした行動が、相手のためになっていない件
こんにちは。僧侶の神崎修生です。
本日は、お悩み相談をいただきましたので、そちらをご一緒に考えてみたいと思います。
テーマは、「相手を思ってした行動が、相手のためになっていない」ことについてです。
ご相談は、50代の女性のAさんからです。
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私はお節介で、周りの人につい何かしてあげたくなります。
先日、今は使っていないバッグが家にあったので、友人(Bさん)にあげました。私は、あの人ならきっと似合うから喜んで使ってくれるだろうという思いであげました。
数日後、別の友人から、「Bさんが、誰かからよくものをもらって困っている。正直、使わないけど、断りづらいし、捨てるのも申し訳ないと思って悩んでいる。収納場所もないし」という話を聞いて、それはきっと私のことだと思いました。
私は、ただ喜んでほしいという思いでしたことでしたが、Bさんにとってはかえって迷惑だったと知って、ショックでした。
それ以来、相手のために何かしようと思うことがとても難しいと思うようになりました。今回、私の行為は間違っていたのでしょうか?
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このようなご相談内容でした。
今回の悩みの原因を一言でいうと、「相手を思ってした行動が、相手のためになっていない」ということだろうと思います。
こうしたこと、皆さんも経験はありませんか。私はあります。
ついつい、自分が得意なこととか、自分が持っている知識などがあれば、頼まれてもいないのにしたり、聞かれてもいないのに話したり。その後、「相手の方は迷惑じゃなかったかな。あんなことしなければ良かった。言わなければ良かった」と反省することも多いです。
では、我々はどのようなことに気を付けると良いのでしょうか。
現時点で私が思う結論は、「相手の思いを知ろうとすることが何より重要」というものです。
今回考えたのは、
・相手を思いやることは悪いことじゃない。
・その行為は自分のためか、相手のためか。
・相手の思いを聞くこと。
というポイントについてです。
今後の友人や職場での関係に、ご参考になればと思います。また、読んだ上でのご感想も是非いただければ嬉しいです。
それでは、「相手を思ってした行動が、相手のためになっていない」ことについて、ご一緒に考えていきましょう。
▷相手を思いやることは悪いことじゃない
まず、相手を思いやることが良いことか、悪いことかというと、良いことです。相手を思いやる気持ちは、決して悪いことではありません。
皆が自分勝手に生きていたら、社会はおろか、友人関係や家庭も成り立ちませんから、相手の気持ちをくみ取ろうとしたり、相手を思いやることが決して悪いことではありません。
では、今回、「相手を思ってした行動が、相手のためになっていない」のは、何が原因なのでしょうか。
・相手を思いやることは良いこと。
▷その行為は自分のためか、相手のためか。
「相手を思ってした行動が、相手のためになっていない」原因として考えられるのが、「相手の気持ちが分かっていない」こと、また、「行為の目的が、相手のためでなく、自分のためになってしまっている」かもしれないことです。
仏教では、人はあらゆる物事を自分中心に見てしまう習性があると考えます。
このバッグをあげたAさんの場合、「Bさんならこのバッグはきっと似合うだろう」、「きっと喜んでくれるだろう」というのが、Aさんの見方です。
しかし、Bさんの思いはというと、「このバッグは使わない」、「断りづらいし、捨てるのも申し訳ない」、「使わないものをもらうと困る」というものでした。
Aさんの見方と、Bさんの思いでは随分違いますね。
我々はついつい、自分が良いと思うものは、相手も良いと思うだろう、これを渡したらきっと喜んでくれるだろうと、自分都合の前提を置いて、物事を見たり、考えたりしてしまっていることがあります。
好き嫌いとか、いい人悪い人、正しい間違っているなどの判断も、自分の経験や価値観などを中心にしておこなわれているものです。
我々は気を付けないと、自分中心の見方や価値観を相手に押しつけて、相手を困らせたり、傷付けてしまっていることがあります。そのことを、今回のAさんのご相談から、私自身も改めて考えさせていただきました。
相手が喜んでくれると我々は嬉しいですから、相手のためと思い、色々したくなることがあります。その思い自体は良いことですが、それが相手のためになるかどうかを考えておくことが大切ということでしょう。
その行為は、相手のためか、自分のためか。
相手は本当に喜ぶか。
考えてみると、相手の気持ちって中々分かりませんね。相手はきっと○○だろうといった自分本位に考えるよりも、人はそれぞれ違う、相手の気持ちは分からないものという前提を置いて考えたほうが良いのだと思います。
・人はあらゆる物事を自分中心に見てしまう習性がある。
・そのことを認識する。
・その行為は自分のためか、相手のためかと考える。
・人はそれぞれ違い、相手の気持ちは分からないことを前提に考える。
しかし、相手に何かしてあげたいと思うのも我々です。ではその時、我々はどうすれば良いのでしょうか。良いのは、「相手の思いを聞くこと」です。
▷相手の思いを聞くこと
人はそれぞれ違い、相手の気持ちは分からないということを前提にした場合、相手の気持ちを知るには、聞くことが一番です。
言われてみれば当たり前のことですが、これが案外できないものです。今回のAさんの場合は、どうすれば良かったのでしょうか。
Aさん「私が使っていないバッグがあるんだけど、あなたいる?」
Bさん「どんなバッグ?」
Aさん「○○のブランドの、形は○○で、色は○○。写真もあるよ。こんなもの」
Bさん「なるほど。気持ちはありがたいけど、あまり使わないかもしれない。でもありがとうね」
このように、Bさんの気持ちを聞いて確認していれば、Bさんも困らなかったのかもしれません。「あなたいる?」というAさんの聞く行為があったことで、Bさんにとっては気持ちを伝える機会があったと言えます。
Bさんが、それでもAさんに気をつかって話を合わせるように感じられる方であれば、「私はバッグを使っていないから、あなたにどうかなと思って言ったんだけど、好みやいるものは人それぞれだから、使わない場合は、遠慮なくそう言ってね」と補足するといいでしょう。
我々は、気をつけていないと、ついつい自分の意見や価値観を押しつけてしまっていることが多いものです。それを無意識におこなっていることもあります。
そして、相手が自分と違う意見を言った場合には、そのことに怒ったり、あの人は変わった人だと、自分勝手なレッテルを相手に貼ってしまうことがあります。
この場合、Aさんは、自分の行為でBさんが困っていることを聞いてショックを受けていましたが、人によっては、Bさんの行為に腹を立ててしまって、関係がとても悪くなったり、縁が切れてしまうこともあるかもしれません。
「あの人は、私の良かれと思ってした行為を踏みにじった。許せない」
「あの人は自分勝手な人」
というように、自分のした行為からおこったことにも関わらず、相手を責めてしまう場合があります。
これもやはり、人はあらゆる物事を自分中心に見てしまう習性があるからであり、また、人はそれぞれ自分が可愛いですから、自分は悪くないと認識して相手のほうに責任を求めてしまう習性もあります。
これは、よくよく気をつけて自覚しておく必要があります。
・気をつけていないと、我々はつい自分の意見や価値観を押しつけてしまう。
・相手に良かれと思うことをしようとするならば、相手の気持ちは分からないという前提にたって、聞いてみることが大切。
・相手の思いを知ろうとすることが何より重要。
・相手が自分の思った行動を取らないと、そのことに腹を立て、相手の責任にしてしまうことすらある。
▷まとめ
Aさんのご相談から、私自身も改めて考えさせていただきました。
「相手を思ってした行動が、相手のためになっていない」ことは、誰しもありうることです。そこで重要なのが、相手の思いを知ろうとすることであり、聞いてみることでした。
相手を思いやること自体は、悪いことではありません。ただ、相手のことを思いしている行為は、本当に相手のためになっているか。自分のためになっていないか。
そのためにも、相手の気持ちを聞いてみることが重要だと思います。
これは、できそうでいて、中々できないものです。
それは、人はあらゆる物事を自分中心に見て、自分の意見や価値観を相手に押しつけてしまう習性があるからです。
なるべくそうならないように、人はそれぞれ違うこと、相手の気持ちは分からないことを前提に考え、相手の気持ちを聞いてみることが良いと思います。
いかがだったでしょうか?
是非皆さんのご感想も伺えると嬉しいです。
最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。
合掌
浄土真宗本願寺派 教證山信行寺
神崎修生
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