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【コラム】日々を心豊かに生きる。幸せの4つの因子を紹介

皆さん、こんにちは。僧侶の神崎修生です。
本日は、「日々を心豊かに生きる。幸せの4つの因子を紹介します」というテーマで、お話をさせていただきます。

日常生活を営んでいると、何かとストレスはつきものですね。私も僧侶として、様々な年代の方とお話をさせていただく機会がありますが、人間関係での悩みや、将来への不安など、人それぞれに色々な悩みやストレスを抱えておられることを思います。

そして、「日々を穏やかに過ごしたい」、「楽しく生きたい」、「自分らしく生きたい」という思いを伺うことも多くあります。

私自身も、僧侶だからといって、悩まないかというとそんなことはありませんし、同じように、悩みを抱えながら、より良く生きたいと思う一人です。

では、日々をストレスフルではなく、マインドフルに過ごすにはどうしたらいいでしょうか。日常の少しのことにも楽しみや喜びを感じながら、心豊かに満たされた状態で過ごす工夫はあるのでしょうか。


先日、幸福学の第一人者である前野隆司先生の研究室(慶應義塾大学大学院)より、前野マドカ先生岡本直子先生がお越しになり、「幸福学ワークショップ実践講座」が開催されました。

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そちらに参加してきましたので、その講座からの学びと、そこから感じたことを今回お話できたらと思います。

(この講座は、寺子屋ブッダさんが主催した「ヘルシーテンプル」講師養成講座の一環としておこなわれたものです)

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▷幸せを計測する

前野隆司研究所では、企業研修や講演などを通して、幸せな組織づくりや、幸せな人づくりなどに取り組まれており、また、脳神経科学や情報科学を活用した心身の計測によって、データに基づいた幸せの研究もなさっているそうです。

前野先生によると、研究から、幸せは「幸せの4つの因子」を満たすことによって得られると結論づけられ、それに基づいて、幸福度チェックをおこなったり、対話するなどのワークショップを開催しておられます。


目に見えない幸せというものを、データに基づいて、定量的に測ろうとされているところが素晴らしいと思います。私は、4年程前に、先生の著書『幸せのメカニズム』(幸せはコントロールできる)を読み、嬉しくなり、私がお寺でおこなっている仏教講座で、参加者の皆さんに解説付きで紹介をさせていただきました。

データに基づいて幸せの要素が示されていて、とても説得力があり、ご参加の皆さんがとても納得されていたのを、今でも覚えています。


▷幸せの4つの因子

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では、「幸せの4つの因子」とは何でしょうか。前野先生によると、それは以下になります。


①自己実現と成長の因子
(やってみよう因子)

②つながりと感謝の因子
(ありがとう因子)

③前向きと楽観の因子
(なんとかなる因子)

④独立と自分らしさの因子
(ありのままに因子)


コラムで、この4つの因子をもとに、日常から幸せを感じ、心豊かに満たされた状態で過ごす工夫について、考えてみたいと思います。


▷自己実現と成長の因子(やってみよう因子)

まず今回は、①自己実現と成長の因子(やってみよう因子)について、要点を見てみたいと思います。さらに深掘りされたい方は、前野先生の著書を、是非読んでいただければと思います。


さて、自己実現と成長の因子(やってみよう因子)の要点は、以下になるとのことでした。


・夢や目標を叶えた人は幸せ。
・夢や目標を持っている人は幸せ。
・努力し成長している人は幸せ。


ここでポイントに感じるのは、夢や目標を叶えた人だけでなく、夢や目標を持っていること自体で、幸福度が高まるということです。夢や目標は、願えば叶うという意見も理解できますが、一方で、叶わないものもあるということも事実でしょう。

夢や目標が叶わないのは、思いが軽いからだと断定されるとつらいもので、ご本人の問題だけでなく、環境や様々な要因によって、叶わない場合もありますよね。勿論、夢や目標に向かって努力する姿勢は素晴らしいことなのですが、人はそれぞれ色々なことを抱えながら生きていて、それができない状況、環境があることも、僧侶として様々な方に接していて学ばせていただいています。

白血病や癌、脳梗塞などになられ治療をされている方、加齢により思うように動けなくなっている方、虐待を受けていたなどの家庭環境が複雑な方。一見明るく見える人でも、人それぞれ色々なものを抱えて生きていることを、身をもって教えられています。

他者に対しては、できるだけ思いやりや慈しみの心を大切にしつつ、人は色々なものを抱えて生きていることを想像し、生き方を押しつけないようにしたいと反省の日々です。


やってみようの逆は、やらされ感であると今回の講座で学びました。上司や親の立場の方は、どうやって、やらされ感ではなく、本人のやりたい気持ちや、やってみようという思いを引き出していくかが重要になりますね。私も日々勉強です。

いずれにしろ、夢や目標を叶えた人だけでなく、夢や目標を持っていること自体で、幸福度が高まるということは、素晴らしいことだと思いました。

そして、その過程で、努力し成長が実感できれば、さらに幸せに感じることができます。決して大きなことだけでなく、日々のチャレンジでいいそうです。まず、やってみようとすること、そしてワクワクするかどうか、それが重要とのことでした。


▷やりたいことが分からない。やりがいを感じない。

また一方で、何がやりたいか分からないとか、日々のタスクなどにやりがいを感じないという方もおられるかと思います。このことに関して、私が畏敬の念を感じたのが(今回の講座の内容ではありませんが)、たとえ銃弾が飛び交う中でも難民を救おうと活動された、国連難民高等弁務官を勤めた緒方貞子さんの生き方です。

緒方さんは、内紛などで、難民が溢れかえり、混沌とする中東やアフリカなどの現地に入り、難民支援の指揮をされていたそうです。その緒方さんは、基本的には頼まれ仕事をなさっていたということです。

頼まれ仕事は、自分がある程度やりたいことならいいですが、そうでもないことは、やらされ感が出てしまって、中々やる気が起きないという方もおられるのではないでしょうか。頼まれ仕事に対して、緒方さんはなぜそれほどコミットできたのでしょうか。しかも、人の生死が関わるような問題に対してです。

明確な答えは、緒方さんに伺ってみないと分かりません(2019年10月寂)。これは自分がしないといけない、誰かがしないといけないと思われたのか、現場主義で感じることがとても多かったのか、自分がなすことで喜んでくれる人がいることが嬉しかったのか。

様々なことが考えられますが、私もずっと考え続けたいテーマです。頼まれ仕事にやりがいを感じる方は、是非ヒントを教えてください。


また、依頼された仕事の中でも、自分の特徴が活きることや、将来につながりそうなことを選んで、そこに注力するという考え方もあります。それはそれで正解だと思います。色々な生き方の中から、どういった生き方が良いかを考え、自分に合ったものを選んでいくのがいいかもしれませんね。


長くなりましたので、今回はここまでにさせていただきます。続きは、またお話したいと思います。

最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。

合掌


浄土真宗本願寺派 教證山信行寺

神崎修生

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