見出し画像

大日本趣味同好会が発行していた趣味誌『加良久利』

 結構前に購入したが紹介できていなかった趣味誌の一冊に『加良久利』という趣味誌がある。この雑誌は大日本趣味同好会が発行していたもので創刊号が私の手元にあるので、以下にいくつか写真を掲載しておきたい。

表紙
大きさ
目次
奥付
奥付②

目次
大日本趣味同好会と「加良久利」発刊に就て 鈴木仁三
おもちゃ一つ一つ 千木筥 有坂與太郎
鶏の話(上) 小島欣鶏
我輩の趣味(一) 田中野孤褌
日本橋に就いて 喜昭山人

創刊号の最後に書かれている「おしらせ」によると、大日本趣味同好会は、様々なものの愛好家、蒐集家の交流、普及を促進しようとして有坂與太郎、武藤喜邦、鈴木仁三によって設立された団体であるようだ。有坂與太郎は郷土玩具の研究家、蒐集家である。武藤喜邦は、Web NDL Authoritiesによると、『長唄稽古本表紙絵集』(1932年)という著作がある。ざっさくプラスで確認すると、『土俗と伝説』、『土の鈴』(本山桂川編集)、『郊外』、『郷土秘玩』に投稿が確認できる。(注1)鈴木は『加良久利』の2号(1928年1月)に大日本趣味同好会の紹介のページで「鈴木凡太郎」として登場するので、鈴木仁三=鈴木凡太郎であろう。鈴木は郷土玩具関連雑誌で名前を見たことがある。ざっさくプラスによると、鈴木は、『郊外』、『旅と伝説』、『郷土秘玩』に投稿している。両者のことは少し調べてみたが分からなかったので、以下の記事で紹介した様々な蒐集家が載っている『和漢楽(わからん)』を確認すると以下のように記載されていた。

東京 武藤喜邦氏
一、土俗と風俗の研究及其資料蒐集
おかめ、猪、福財布とお守小判、箸と杓子、諸国おみやげかんざし、変形お守と御影、名物票、変態風俗資料等々
二、明治三十二三年頃、煙草に入れてあった「写真の絵」より初まり、万国切手、絵葉書が初めて発行されると共に絵葉書―社寺名物印影はがき―記念はがき―土俗玩具といふ順序
但し震災前の物は二十数年の蒐集物全部焼失
三、動機といって別にない。子供の時から自分に自然に芽生えて来たのです。

東京 鈴木凡太郎氏
一、土俗玩具
二、七八年前より
三、衰頽せんとする玩具保存の考へにて
(一、蒐集分野、二、蒐集を始めた時期、三、蒐集の動機、一部を筆者により現代仮名遣いにあらため、必要に応じて句読点を追加した。)

武藤がかなり前から蒐集趣味をはじめたことが分かるだろう。両者の活動を詳しく知りたいところだ。

(注1)ざっさくプラスでは、他にも武藤喜邦の投稿している雑誌が確認できるが、投稿している文章のタイトルから同一人物でないと考えて一部の文章を除外した。

よろしければサポートをよろしくお願いいたします。サポートは、研究や調査を進める際に必要な資料、書籍、論文の購入費用にさせていただきます。