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趣味人・伊藤喜久男が発行した趣味誌『旅の趣味』第1輯

 以下の記事で紹介した趣味人・伊藤喜久男のことを紹介したが、伊藤が発行していた雑誌のひとつに『旅の趣味』がある。この雑誌は、串間努さんの「日本における、趣味誌発行の歴史 第五回 伊藤喜久男さんのこと」(串間努編『旅と趣味』第6号、2011年)で「誌界、驚天動地の「旅の趣味」現る」と表現されているように貼りこみも豊富でぜいたくな装丁になっている。以下に写真を含めて紹介していきたい。

大きさ:約16.6cm×約23.5cm、和装
印刷:昭和11年6月30日
発行:昭和11年7月10日
編集兼発行者:伊藤喜久男 東京市大森区馬込町東二丁目一〇九九
印刷者:礒部鎮雄 東京市荒川区三河島六ノ五一
発行所:旅の趣味会 東京市大森区馬込町東二丁目一〇九九 ※伊藤の住所と同様
頁数:87頁
部数:100部

目次
いはゆる”印”の世界的発達抄 池田文痴庵
蒐集たわ言 宮尾しげを
鉄道乗車券発達史の一考察 宮下武太郎
台湾雑詠 倉本彦五郎
趣味の納札 よし田思棲
たはごと帳より 小林牧秋
福助とは? 井上ふく助
趣味品の整理 山形秋渓
久留米おきあげ 小野正男
櫻の番附について 倉本彦五郎
納札漫録その他 田中野狐禅
都漫内話 平岩富士蔵
蘇民将来に就て 富田寛
土鈴二三 八木原村児
完全なるコレクション 早原七郎
六阿弥陀詣 小山彰
東京玩具拾得帖 金井虹二
蒐印帳が役立った話 河合實
絵葉書に就て 鈴木保衛
嘉永江戸物識短噺 箭内勲
四日市博覧会観覧記 矢田明朗
旅の趣味会その他 伊藤喜久男
最近の旅の趣味会
旅の趣味会会員連名
編集者雑記帳

表紙
目次
奥付
寄贈品を提供した角田勇吉の蔵書票だろうか?角田旧蔵?
櫻番附
記念スタンプの紹介
旅の趣味会会員名簿

この雑誌の最大の特徴は貼り込みの多さである。上に写真を掲載したのは一部でまだまだ貼り込みがある。このような伊藤は趣味品について、「旅の趣味会その他」で以下のように述べている。

(前略)それ程でもありませんが、御覧の如く夥しい各種の趣味品が挿入張込されてある、いささか型破りの雑誌であるため、原稿と趣味品の蒐集に先づ苦戦し、次に材料がOKになって編集者として、最後の仕事である。割付に徹夜を要し漸く成りました。現在毎月私の手許に全国より送付されます、所謂趣味誌と称するものは、台湾より北海道までにわたり十余種あるが、大半印刷、菊版で、入札とニュースをその生命としてゐるものであるが、本誌は畏友礒部氏の謄写版に対する驚嘆すべき技術をかりて、百部の限定版として発行した。(中略)手前味噌で恐縮であるが、必ずや後世趣味界の珍本として、古本価値満点たるものと思ふ。(後略)(筆者により一部を現代仮名遣いにあらため、必要に応じて読みやすくなるように句読点を付けた。)

伊藤の上記の表現からは『旅の趣味』は他の趣味誌とは違うという自信が感じられる。伊藤は「必ずや後世趣味界の珍本として、古本価値満点たるものと思ふ」と述べているが、この趣味誌は伊藤の思惑通り古本市場で稀覯本となっている。

 ところで、伊藤も加賀紫水の発行していた『土の香』ともかかわりがあった。以下で先日発行をお知らせした調査趣味誌『深夜の調べ』第1号に私が掲載する『土の香』総目次でも伊藤の『土の香』への投稿を紹介している。

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