見出し画像

柳田国男の蔵書の中の変態文献

 先日、以下の記事で柳田国男と藤澤衛彦の伝説に対する考え方の違いを紹介したが、その際に『増補改訂 柳田文庫蔵書目録』(成城大学民俗学研究所, 2003年)に何冊も藤澤の文献が確認できたと述べた。その中に、変態十二史シリーズの中の第12巻である『変態伝説史』藤澤衛彦(文芸資料研究会, 1926年)がある。

以下のブログによると、変態十二史シリーズは、当時流行していたエロ・グロ・ナンセンスに関する雑誌や本を編集していた梅原北明が企画に関わっていたという。

『変態伝説史』には、人間と動物が婚姻を結ぶ話や人間と動物の間で変化する話などが中心に収録されているが、柳田もこのような話に興味を持って伝説の研究のために読んでいたのだろうか。比較的よく知られているように、柳田は性に関する民俗を遠ざけたり、趣味人たちと自分の学問の領域を明確に分けようとしたりしていたので、この本が柳田の蔵書の中にあることに意外に感じた。以下の記事でも問題提起したように、蒐集趣味関係者と民俗学関係者は私が考えていた程離れていなかったのかもしれない。


よろしければサポートをよろしくお願いいたします。サポートは、研究や調査を進める際に必要な資料、書籍、論文の購入費用にさせていただきます。