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古本屋として継続した?雑誌『民俗藝術』を発行していた地平社書房

 以前以下の記事で雑誌『民俗藝術』を出版していた地平社書房が1933年には出版事業を停止した、もしくは廃業したのではないかと推測したが、地平社書房は古本の売買も行っていたため会社として廃業したかどうかは分からなかったが、さらに調べてみると地平社書房は出版事業は止めたが、古本販売は継続していたらしいことが分かった。

上記の記事でも紹介したように『出版年鑑』を確認してみると、昭和八年版(東京堂, 1933年)までは出版関係諸名簿の中に地平社書房が確認できるが、昭和九年版(東京堂, 1934年)以降は載っていなかった。『古本年鑑』(古典社)を確認すると、第1年版(1933年)には地平社書店、第2年版(1934年)、第3年版(1935年)に地平社の記載がある。会社名は違うが、地平社書房と同一の会社であることが住所を確認すると分かる。『出版年鑑』の昭和七年版(東京堂、1932年)までの地平社書房の住所は神田区南神保町一四であるが、昭和八年版で地平社書房の住所は本郷区駒込動坂町一〇四に移動している。『古本年鑑』に掲載されている地平社書店、地平社の住所も地平社書房の本郷区の住所と同じなので、地平社書房は出版事業を止めた後も社名を変えて古本販売をしていたことが分かる。『出版年鑑』、『古本年鑑』の出版された時期から地平社書房は1931年ごろに神田区から本郷区の住所を移し古本販売を継続していたようである。

 余談だが、千代田区立図書館の所蔵している古書販売目録のコレクションの中にも地平社書房の「古書販売月報」が所蔵されている。所蔵されている資料は出版事業も行っていた時期のものであるように思われる。地平社書房は古本の販売をいつまで行っていたのだろうか。

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