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コーヒーにまつわる本 Vol.03

中川ワニ - ジャズブック

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すべてはつながっている。そう実感できることが多くなってきました。もういつだったかも忘れる(いや未だにいつだったか思い出せない)ぐらい昔、金沢に行ったときに立ち寄った古本屋があります。名前すら忘れていた古本屋です。

noteにコーヒー豆の片手鍋焙煎のことを主に書く中で、過去に読んだ本や、聴いた音楽を振り返る機会も得ました。

前回、コーヒーにまつわる本で紹介したのは、やっぱりずっと前に買ったArne(アルネ)。特集は中川ワニさんでした。なんとなく中川さんのことが気になって調べていると、ジャズブックという本を出されていることがわかりました。おそらく限定本で、廃盤なのかなぁ。古本でしか取り扱いがないようでした。定価よりも価格が高いです。本で定価よりも価格が高いものなんてまず買うことがありません。

普通ならここで購入意欲もなくなっているのですが、今回のこの本は特別でした。それは、冒頭の話に戻るのですが、僕がずっと昔に訪れた金沢の古本屋、あうん堂さんがなんと!発行しているのです。

気になった人と過去に自分が訪れた気になったお店がつながっている。そのことが決定打となり、購入するに至りました。結果は、買って本当によかった。

中川さんの言葉には、自分が考えていても言語化できなかったこと、おんなじ考え、コーヒー(焙煎)に関する大切な教えが含まれていました。実際のところ、中川さんが言わんとしていることと僕が理解したと思っていることは一緒かどうかはわからない。でも読み手の僕が勝手にでもあれ、共感できたことに意味があります。

忘れたくないので、以下、自分にひっかかった言葉を箇条書きで抜粋します。

・何かの入口に立つというのは案外難しいことで、扉がみつかった人はそれだけでとても幸せなのかもしれない。

・僕にとって音楽は、聴くというより観るものなのだ。

・焙煎も楽しいのだが、何より珈琲を飲むのが大好きである。珈琲を口に運んでいる時、見えたり聴いたり感じたりする出来事をつらつらと心に留めていく。そんな時間の積み重なりが、僕の珈琲焙煎人としての財産だとすら思っている。

・結局、珈琲は技術で作りきれるものではない。人として生きている時間の中にこそ、美味しくなる秘訣が潜んでいる。そしてその秘訣は人それぞれで、決まった答えなどないのである。

・3いう数字が好きだ。(これを書いている僕のラッキーナンバーは3だ、と勝手に思っています。午前3時30分に3330gで生まれたのです)

・必要なのは、作りものじゃない量感としなやかな広がりだ。

・ジャズを好きになるにはマナーが必要である。それは、「まっすぐ向き合う」、ただこれだけ。

・珈琲焙煎は完ペキ主義の人には向かない。珈琲は農産物であり、その時によって出来が違う。いつも同じではない生豆からある程度同じような珈琲豆を作り上げようとする時、こうあるべきという考えを持ちすぎると、豆が本来持っている地力を見失ってしまう。大切なことはすベて珈琲豆が教えてくれる。

・その時の感動はその時にしか得られない、ということだ。感動は動かずにいつも同じ場所にあるものではなくて、いつどんな時に現れるか、まったく予想がつかないもの。出会えたらその瞬間を逃さず、味わい尽くすしかない。

・生きる営みの息吹の中で、人のざわめきの中で珈琲を淹れ、一緒になって飲んでみたい。珈琲とともに、人とどんな風景、どんな時間を共有していけるのか、そのことにこれからの珈琲人生を使ってみたい。

以上です。焙煎を続けようって思いました。

この本の表紙にはピアノ、裏表紙には、月とコーヒーが。そのときはわからなくても、すべてはつながっていて、何かを待ちわびているのかもしれません。

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