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金融機関アプリの“集客力”を高める! ミニアプリの開発、提供基盤を構築【NTTデータ】

NTTデータが2024年度中のリリースに向けて現在準備を進めている金融機関のスマーフォンアプリケーション向けの「ミニアプリプラットフォーム」。NTTデータ 第三金融事業本部 e-ビジネス事業部 デジタル戦略室 山本 洋輔部長に、仕様と開発の狙いなどを聞いた。(金融ジャーナル編集部  2024年7月号掲載 AD



生活と暮らしそのものを豊かに。“毎日タッチしたくなる”アプリへ

——新たなミニアプリプラットフォームの概要について教えて下さい。

私たちは今、金融機関のスマホアプリに金融・非金融の新たなサービスを容易に開発、提供できるプラットフォーム構築を進めています。サービスの開発、提供は“ミニアプリ”を通じて行います

ミニアプリとは、基盤となるネイティブアプリケーション内で、様々なサービスを提供するアプリのことです。日本ではLINEやPayPayなどが有名ですが、これらの基盤アプリ上ではミニアプリによってショッピングやグルメ、ヘルスケア、観光、音楽、ゲームなど幅広いサービスが提供されています。

現代の金融機関には、従来型の金融機能の枠を超えて、地方創生や利用者の生活そのものを豊かにする観点でのサービス提供が求められており、ミニアプリを活用したサービ拡充が金融機関アプリの有力な強みの1つになると考えています。

ミニアプリプラットフォームの全体像 

——既存の金融機関スマホアプリは、どのように変化するのでしょうか。

多くの金融機関では、コロナ禍もあり非対面サービス強化の一環でアプリ機能を充実させてきました。その一方で、利用者は増えているものの、日常的な利用には至っていないことを課題と感じている金融機関は多いです。

そのような現状の金融機関アプリを、スマホを使う際に“毎日タッチしたくなる”ような、地域・生活情報のポータル機能を備えた「総合アプリ」に変えることができると思っています。

地域での暮らしに密着し、生活に溶け込んだ金融・非金融のサービスが実装できれば、インターネット専業銀行などとの“差別化”も積極的に進めていけると考えています。また、口座を持っていない人や若い世代との接点が増えることも期待できます。

——ミニアプリでは、どのようなサービスが実装されるのでしょうか。

新規サービスや既存のWebサービスを“ミニアプリ化”して提供することはもちろん可能です。そして、ミニアプリは期間や利用者が限定されるサービスを提供することにも適しています。

例えば、金融サービスでは、確定拠出年金の商品案内特定の取引先企業に対する職域サポートなどが考えられますし、非金融サービスでは、自治体や地場の企業、地域でニュースを発信する事業者などと連携することは一考に値すると思います。

金融機関アプリ内で、金融機能自体を充実させるだけではなく、地域のイベント案内や生活に関する情報が発信され、商店街で使えるクーポン券が発行されるようになるイメージです。金融機関アプリが“地域で最も集客力のあるアプリ”となれば、収益機会も増加すると思います。

このプラットフォームは、金融機関のサービス開発、提供の手段、選択肢の自由度を広げることができると考えていますが、利用者の関心ごとへアンテナを高めていくことができれば、将来的には金融機関自身がデータ利活用を進め、次世代のサービス開発者になる可能性もあるかもしれません。 


開発環境を切り離し、安全性確保。新たな開発・実験の“場”提供する


——安全性はどのように確保しますか。

金融機関アプリは決済の安全性を確保するために、極めて堅牢に作られています。ミニアプリを実装することで、決済機能に不具合を起こすことは許されません。

当社のミニアプリプラットフォームでは、登録された多様な事業者と連携しミニアプリを迅速、安価に開発できますが、金融機関のネイティブアプリ開発とは切り離された環境で開発・配信する仕組みを構築しています。つまり、アプリをゼロベースで再構築するのではなく、既存機能の安全性を確保したまま拡張性の高いアプリにすることができます

また、利用者は金融機関アプリで本人確認等を済ませていれば、その情報を連携することでミニアプリ上での新たな認証が不要になります。安全性とシームレスな利用・体験が両立できます。

——利用開始時期について教えて下さい。

現時点では2024年度中の運用開始を予定しています。現在、金融機関だけではなく、アプリの開発事業者とも情報交換等をしており、「複数の金融機関アプリを提供するNTTデータとの連携はメリットを感じられる」との声を頂いています。

開発にあたっても開発・運用のテンプレートやツールキットを提供し、開発のハードルを下げる仕様にします。顧客サービス向上の観点で、トライ&エラーができるこれまでになかった新たな開発・実験の“場”としても活用してもらえればと思っています。

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