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「ASD、ADHD、LD 女性の発達障害〈就活/職場編〉」を読んで(読書感想文#30)

発達障害を持つ女性の方が、仕事でどんな困り事を感じやすいのかが分かる本でした。職場に発達障害の方がいる場合に、周囲の方が理解を深めるにもとてもおすすめです。特にASDとADHDの困りごとの出方の違いが分かりやすかったです(両方持っている人も多いので、実際は人それぞれだろうなぁという前提で)。

▼ASD、ADHD、LD 女性の発達障害〈就活/職場編〉/宮尾益知監修

女性の発達障害の概要は理解できてきましたが、社会人がどんな困り事に直面しやすいのか知りたくて私は手に取りました。

向いている仕事、難しい仕事の例

発達障害の方は、「得意」「不得意」の差が大きい場合があります。その特性と適性を理解していくのが大切になります。

◆ASDの場合
<できる人が多い>
・決められた作業を規則正しく行う
・単純な反復作業をいとわない
・難しい感じや文章を読む、書く
・PC操作
・専門知識の習得
・細かな部品などの管理、整理
・常識に囚われない発想
→向いている仕事例)IT、工場(製品管理)、事務(業務管理)、清掃、調理、研究、芸術等
<できない人が多い>
・相手に合わせた会話
・良好な人間関係を築く
・急な予定変更への対応
・話の裏や嘘を見抜く
・お世辞やジョークを言う
・ストレスを我慢する
・周囲の空気を読む
→難しい仕事例)営業、窓口業務、接客

◆ADHDの場合
<できる人が多い>
・行動力がある
・興味のあることに情熱と集中力を発揮する
・自由な発想力や感性がある
→向いている仕事例)IT、営業、販売、デザイナー等のクリエーター、研究職等
<できない人が多い>
・単調な作業の繰り返し
・集中力を持続させること
・時間やルールを厳守すること
・一度に多くのことに注意を向けること
→難しい仕事例)自動車修理、工場(製品管理)、事務(業務管理)、校正、清掃等

この特性があるとこの仕事は難しいという訳ではなく、仕事で求められる性質を見極めて、個別に検討していくことが大事だと思います。

ASD、ADHDのほめ方・しかり方

この項目はコラムとして、参考情報の形で載っていたのですが、参考になるなぁと思いました。基本的には「分かりやすく伝える」ことが重要で、他は特性を理解した上で、それを尊重して合わせていくことが大事なんだなと思います。

◆ASDの方
<ほめ方>
・具体的にはっきりほめることが大事
・本人の気づいていない強み、取り組み努力をほめる
・拘りが強く出ても、成果があればほめる
<しかり方>
・本人の言い分を聞いて、一緒に考える
・短く具体的な言葉で伝える

◆ADHDの方
<ほめ方>
・できたときは、その場で具体的にほめる→自信が生まれる
・その他はASDの方と類似
<しかり方>
・時間をおかずその場で注意する
・他の人がいるところで叱らない、場所を変える。(ADHDの方は何度も注意されて自尊心を失っていることも多いため)
・ミスをしたら、すぐに報告するように求める

その他、新たに理解したこと

ビジネスマナーはSSTで練習するのが大事そう。それから、アスペルガーは知的・言葉の遅れがないため、周りに理解されにくいことから難しい面があるということ。情報は、「構造化して具体的に伝えることが大事」ということが分かりました。

また、ASDのライターの方の体験談で、会話の目的は「事実についての情報交換」だけれど、他の人は「感情的結びつきの確認」であることに気づかれたという話が印象的でした。なるほどなぁ。

同じようなトラブル(人間関係が上手くいかない等)でも、ASDとADHDでは原因が違うというページもとても興味深かったです。

女性の発達障害について、だんだんと立体的にわかってきました。実際は1人1人違った性格、特性があることを踏まえた上で、よりその人らしさを発揮できる方法を私も考えていきたいです。

ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。


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