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【みみ #39】何のためのデザインか聴覚障害から教わった


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方山 れいこさん


 耳の聴こえない、聴こえづらい方へ、駅のアナウンスや電車の音といった環境音を、文字や手話、オノマトペとして視覚的に表現する装置として巣鴨駅と上野駅に設置され、大きな反響を呼んだ『エキマトぺ』。

 富士通株式会社が行ったこの取り組みで、グラフィックデザイン・モーションデザインを担当したのが株式会社方角だ。


 方角は、方山さんがもともと「聴覚障害とか関係なく、一人でちまちまとのんびりやる会社」として立ち上げたデザイン・ファーム。いつも通り、携わったデザインをSNSにアップしただけのはずだった。しかし、「ものすごい勢いで拡散されて、特に当事者の方々から反響があったんです、ありがとうって」


 美大に進学し、最先端のデザインファームに入社。クライアントワークを通じて「見た目が美しく機能性があるデザイン」を追求してきた方山さん。「18歳からずっとデザインだと思ってきたけど、なんでデザインなのかは考えたことがなかったんです」

 前述のエキマトぺの仕事を通じて、初めて当事者の方々のフィードバックをダイレクトに受けたことで、「このためにデザインをやっていたんだって初めて気付いた」


 自分のデザインが世の中に還元される素晴らしさを知り、「開いた穴にスッと入った」感覚のままに、方山さんは、聴覚障害のある方をアルバイトで採用する。

 「手話もできず、聴こえない人とリアルで対面するのも初めてだった」方山さんだが、「コミュニケーションに困ることもなく、こっちが工夫すればお互い一緒に働ける」と感じ、むしろ「この程度で不平等を感じるのは不公平。デザインで何か変えることができないか」と奮い立った。


 しかし、「もっと深く入るには、デザインの前段階から知る必要がある」

 ただ、現実には、当事者によるコミュニケーションの困難と一言で言っても、シチュエーションは、出勤前か移動中か退勤後か、仕事中なのか大人数での飲み会なのか。具体的にどういう部分で困っているのか、何があったら何がなかったら嬉しいのか。「そういった情報が可視化されているものがなかった」

 だったら、それを可視化するサービスをやれば、会社としても深く蓄積できる。そう考えて方山さんが展開したのが、聴覚障害があっても働ける求人情報が集まるポータルサイト『グラツナ』や、聴覚障害者が発信するライフスタイルWEBメディア『キコニワ』だ。

 自分自身が聴覚障害者のバックボーンから広く知りたかったし、それを広く知ってもらうことで活躍できる環境を応援したかった。
 



 しかし、こうした活動を進める中で、「そもそも障害への関心がない人にどう伝えるかという壁も感じている」

 ただ、同時に、方山さんは可能性も感じている。冒頭でエキマトぺが広く拡散されたことをご紹介したが、拡散したのは聴覚障害者だけではなく、当事者ではない色んな方だった。「みんな心の中では、何かいいことしたい、これを知ってほしいって、潜在的な種を持っている人は少なくない」

 方山さん自身だって、かつてそうだった。たまたまプロジェクトを通じて当事者に触れて初めて、本格的に障害に関わるようになった。次は、たまたま方角のプロジェクトに関わった人が同じように障害に関心を持ってもいい。そんなきっかけをつくれるカジュアルな交流の場があってもいいと方山さんは話す。

 さらに、社会課題という共通項を通じても広げられるのではないか。方山さんは、脱炭素とDE&I(Diversity, Equity & Inclusion)を例に話してくれた。「分野は全然違っても、社会課題への意識の高さは共通している。そういった会社が集まる場があってもいい」

 そして、「飛び地のように見えて飛び地じゃない、すべて地続きだと思っている」という言葉に、何としてでも聴覚障害を社会に届けようとする強い意思を感じた。


 実は、方山さんのお家は、おじいさまが「生きるか死ぬか」の新宿歌舞伎町で商売を始め、現在は弟さんが三代目を務める。その弟さんに「姉ちゃん、良さそうなことやっているのはわかるけど、それって行列ができるの?」と言われた。

 今は、社会課題の解決に補助金や出資が得られる時代になった。しかし、おじいさまが経営者だった時代は、事業者への補助金などない時代。ご両親ともに「補助金を申請する暇があれば稼げよ」という感じだった。「まず財を生み出すことが株式会社の役目」と刻まれて育ってきた。


 だからこそ、聴覚障害というテーマであっても社会に求められることに愚直に必死に取り組んでいるのではないか。どうしたら企業はこの分野にお金を出してくれるのか、どうしたらそこに行列はできるのか。方山さんは考え続けているように見えた。


 もし障害の分野で新たな挑戦を考える人がいれば、方山さんのこの背中を見てほしい。もし新たな挑戦までは考えない人であっても、エキマトぺの時のように「何かいいことしたい、これを知ってほしいという潜在的な種」を示す形で行列を作ってほしい。

 そう私たちもお願いして回りたくなるほど、方山さんは魅力的な経営者だった。いや、これからもっと魅力的に成功する経営者だろう。 




ここまで読んでくださった皆さまに‥


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