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【め #41】自分で自分の道を拓き続ける視覚障害学生


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川本 一輝さん


 最近、ダイバーシティ(多様性) & インクルージョン(包摂性)ではなく、ダイバーシティ、エクイティ(公平性) & インクルージョンと言われるようになった。「公平性」とは、「同じスタートラインに立つようにする」ことを指す。

 それを妨げる「構造的な格差」の存在が、一語加わるようになった背景と言われている。自らスタートラインを手に入れてチャレンジし続ける川本さんの話から、その「構造的な格差」の意味が見えてくる。


 川本さんは2歳半の時に、眼の網膜に発生する悪性腫瘍『網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)』と診断された。出生児17,000人につき1人の割合で発症し、95%が5歳までに診断されるとも言われる。川本さんの場合、ほぼ先天的に左目を失明し、右目の視力が0.1から下がっていく成長期だった。


 川本さんが育った「地方」の公立小学校の特別支援学級に通うと、知的障害のある子から車椅子を使う子まで多様な障害のある生徒が一緒で、さらに、将来の進路先として工場を想定してなのか体力づくりのためのハードなランニングの時間があるなど、将来に向けた教育環境としては辛く感じる場面もあった。

 その後、地元の盲学校の中等部に進学した川本さんは、より一層将来を考え始める中で違和感を覚えていく。視覚障害者にとって『あはき(あん摩・鍼・灸)』は昔から馴染みの職業であり、そのまま同じ学校の高等部に進学すれば、そういった職業科もある。それ故に、進路の話をすれば「鍼灸の仕事をよく勧められがち」であり、視覚障害者にとって一種の既定路線となっているのだと感じた。


 もちろん、『あはき』の仕事を否定するものではない。ただ、川本さんは、「もっと勉強したいし、学術的な方面に進みたかった」。そのため、思い切って親元を離れ、都内の視覚特別支援学校に進学し、留学や生徒会長など、自身の可能性を大いに発揮した。

 現在川本さんは、筑波技術大学保健科学部に籍を置き、学生会会長も務める。インクルーシブに関心を持ち、それをボランティアではなく事業としてまわる絵姿を研究し、将来的には「広く国際的に寄与できる」業績をあげたい。その目標に向けて、自身の意見に説得力を身に着けるためにも、大学院に進んで研究に励みたいという高い志ももっている。


 川本さん自身は「環境が変わったことで、どんどんチャレンジできるようになった」一方で、地方にいる視覚障害のある学生にとっては「一般大学の受験自体にも、高いハードルがある」のが現状だ。

 例えば、川本さんの地元は、教員が一般校も含めた人事ローテーションで着任するため、全ての先生が点字などを習得しているわけではない。そのため、このような仕組みでは、教育環境として、文科省が定める学習レベルに到達できない子がどうしても出てしまう。

 さらに、一般大学は視覚障害学生の入学相談には応じてくれるが、生徒や先生が受験に際して「どういった合理的配慮が必要になるか」を大学側にうまく提案できなければ、結果的にその機会は失われることになる。


 このように、地方に視覚障害をもって生まれたことで、過去を踏襲した進路が想定され、それ以外・それ以上の進路を想定した教育環境が得づらい状況が生まれる。
 誰かが悪いという非難をしたいわけではなく、過去から構造的に「地方の教育格差」が内在されてしまっているのだ。


 「若くして選択できずに後悔している人はたくさんいる。そういった状況を生まないようにしたい。今はチャレンジも失敗もできない」と話す川本さんは、その「地方の教育格差」を変えたい。

 現在、見えない・見えにくい生徒に特化した家庭教師を見つけられるオンラインでの家庭教師マッチングを構想中だ。生徒側だけではなく、家庭教師側として手を挙げる人材も既に10人ほど集めた。視覚障害のある学生のアルバイト先が限られることも背景にあり、そうした両者のニーズを引き合わせたい。

 川本さんは自らWebサイトも作り始めており、本格的な稼働に向けて、事業やサイト構築を支援してくれる支援者も求めている。


 もっと大きな目標も聞いた。

 「例えば、視覚障害なのにすごいねとか、そういったファースト・インプレッションをそろそろ変えたいですよね。視覚障害という一括りの前に、まず一人間ですからね。」


 「モットーは実践」と話す川本さんは、自身の環境を乗り越え、失敗を恐れず飛び出し、そうした自身の経験を基に課題を解決する事業アイデアも温め、さらに挑戦しようとしている将来有望な学生だ。そう言えば、彼は全盲だった。

 そんな川本さんを応援してくれる方がおられたら、ご連絡ください。




ここまで読んでくださった皆さまに‥


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