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【こころ #48】発達障害×先進手法で生きづらさをなくす


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市田 悠貴さん


 「それまで、周囲の環境が何か自分に合っていないと感じていたんですけど、そういうものかと諦めていたんです」


 自閉スペクトラム症の診断と、ADHDの傾向がある市田さん。

 小さい頃からコミュニケーションが得意ではなく、学校の帰り道も本を読みながら一人で帰る子だった。そのような状況において、「クラスで浮いてしまう」ことになり、イジメられることも多かった。グループワークのような集団形式での授業も苦手だった。また、教科の得意不得意の差が激しかったことで、「どの科目もまんべんなく点数を取らなければいけない」成績評価や大学受験にも苦しんだ。


 その世界を乗り越えて入学したのは、名門の慶應義塾大学SFC。SFCは、自由な校風で知られ、必修科目がなく関心がある教科だけを選択できたことが、市田さんの特性と相性が良かった。何より、「周りと違っても受け入れられる雰囲気があった」。

 市田さんは、「環境によって生きづらさはこんなに変わるんだ」と実感した。


 一方で、「コミュニケーションが苦手だったので履修登録の時期を友達経由で知ることができず、初っ端からほとんどの授業が受けられなくなってしまったんです」と笑って話す市田さん。その状況でも履修できたのが『社会起業インターンシップ』という授業。ただ、市田さんがその授業を履修するためには、なんと自分で社会起業を始める必要があった。


 そこで、自閉スペクトラム症とADHD当事者として、「生きづらさのない社会を目指す」ことを社会起業のテーマに設定した。そして、その方法として思い出したのが、高校2年生の時に初めて知った『ニューロダイバーシティ』。私たち一人ひとりが、それぞれが異なるニューロタイプ(発達特性、知覚や思考のあり方)を持っており、そんな多様な特性を前提として社会をつくっていくことが社会自体の発展にも繋がるという概念である。

 こうして、SFCの学生と当事者が中心となって、「ニューロダイバーシティの実現を通して生きづらさのない社会を目指す」非営利組織『DiODEN』が立ち上がった。


DiODEN』のWebサイトを訪れると、「生きづらさ」を数字で見ることができる。

  • 「社会はあなたを自閉スペクトラムの人間として受けいれていると感じますか?」という質問に、各国中、日本はYESが最も少なく(14.3%)、NOが最も多い(42.9%)。

  • いじめられたことのある当事者の割合は、約77%。

  • アスペルガー症候群の当事者の自殺率は、そうではない人の約9.6倍。


 こうした困難は、「当事者の努力だけでは治せない。社会側が変わらないと、根本的な解決にならない」。現在、『DiODEN』が運営するオンラインコミュニティには130名もの人が在籍し、どういった社会が望ましいか試行錯誤が始まっている。


 また、そこから、すでに豊かな経験を持っている人から「コツの抽出」をし、他の人が「やってみたくなるヒント集」として提示する『パターン・ランゲージ』という手法を用いて、数十人の当事者や支援への聞き込みや文献調査から、当事者の役に立つ経験則やヒント集を作成する取り組みも始まっている。

 さらに、ニューロダイバーシティ経営を推進する法人向けのコンサルティングや、当事者をサポートするチャットボットの製作など、多くのチャレンジが進行中だ。


 市田さんは、こうして広げてきたNPOを「卒業後もやっていきたいし、ソーシャルベンチャーとして経営的にも自走したい」と夢を抱く一方で、「今が岐路」とも話す。

 取り組みを広げていくには資金が必要になるし、学生だけでやれることは限られる。こうした取り組みの顧客である当事者個人は経済的に苦しい方も多く事業性が低いとの指摘もされる。法人向けにしても、社内の職場改善など人事的な専門知識がある人材の助けが必要になるだろう。


 しかし、市田さんは、「偏見を恐れて、多くの当事者は特性を隠して一般の学校や企業に在籍している」故に、周囲の理解やサポートが得られず苦しんでいる人は多いので、「成長市場だと確信しています」と話す。

 ちなみに、令和4年に文部科学省が実施した『通常の学級に在籍する特別な教育支援を必要とする児童生徒に関する調査』によれば、学習面又は行動面で著しい困難を示し、発達障害の可能性があると推定される児童生徒の割合は、小中学校で8.8%に上った。35人学級だと3人、全国の公立小中学校で70万人を超える数字になる。市田さんの主張は、嘘ではないだろう。


 市田さんのように、当事者による当事者のための活動は非常に旺盛で、プロダクト・サービスを出せばファーストユーザーとなるコミュニティもすでに育っているケースも多い。すなわち、ソーシャルベンチャーとして立ち上がれる素地はある。

 それが実際にベンチャーにまで押し上げられるためには、自助努力はもちろんだが、スタートアップ界隈という“社会側”も変わる必要があるだろう。「障害」を狭くかつ福祉と捉えず、「成長市場」として社会課題解決に一緒に取り組む。いま、市田さんはそんなパートナーを待っている。





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