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私の英国物語 Broadhurst Gardens NW6 (50) The Championships, Wimbledon

The Championships, Wimbledon (ウィンブルドン・テニス選手権大会)が始まった。 テニス・ファンでなくても、一度は試合会場で観戦したいもの。
授業を欠席してウィンブルドンへ出かけている クラスメイトもいた。

毎年、6月に開催される the Championships, Wimbledon は、最も歴史と伝統、そして、人気の高いテニス・トーナメントであるといわれる。 
1877年以来、ロンドンの南西 Wimbledon にある the All England Lawn Tennis Club (SW19)で開催されている。
The four Grand Slam tennis championships (テニスの四大選手権大会) の一つで、唯一、芝生のテニス・コートで試合が行なわれるので、“Lawn Tennis Championships” ともいわれる。

※2024年は、7月1日から14日まで2週間開催される。

テニスの四大選手権大会とは、the Australian Open (1月開催)、the French Open (5月開催)、Wimbledon (6月開催)、the US Open (8月開催)のこと。
The Australian Open と the US Open では “hard court”、the French Open では “clay court” (土のテニス・コート)で試合が行なわれている。

テニスはフランスが発祥といわれる。 その起源は、紀元前まで遡る。
エジプトで宗教的な行為の一つとして、一つの球を互いに打ち合うことが行なわれていた。フランスへ伝わったのは8世紀頃。
イベリア半島から南フランスまで進出していたイスラム教徒が行なっていたこの宗教的行為にキリスト教の僧侶が興味をもち、模倣したことからテニスへと発展する。 
 テニス・コートは、傾斜した天井と四方が壁に囲まれる僧院にあり、球は、固形物を芯に糸を巻き、皮で覆ったもので、ラケットのようなもの、あるいは、手で打っていた。 
“racket”は、アラビア語で「手のひら」を意味する。
 
"tennis" という名称は、フランス語の "Tenez!" (tenir!「受け取れ!」)というサーヴァーの掛け声からきている。
ゲーム最初の第一球の "serve" "service" は、ラテン語 “servus” (奴隷)からきており、従者が第一球を打ち上げる役目を行なっていたことに由来する。
その後、18世紀から19世紀にかけて tennis はヨーロッパの貴族の間で流行していく。

英国では、Walter Clopton Wingfield 少佐によって考案された "sphairistike"(古代ギリシャ語で “ball games” の意)というラケットと柔らかいボールを使う競技が、Wimbledon にある the All England Lawn Tennis and Croquet Club で行なわれた。
そして、1877年、最初のテニス大会 (男子シングルのみ) が開催される。
当時の大会は、数百人の観客が集まり、苺とシャンぺンを味わいながら観戦するという、優雅なガーデン・パーティーのような雰囲気であったという。

ウィンブルドンのテニス・コートは19面あり、メイン・コートが中心に、そして、その周りに18面のコートを設えてある。 これが、“the Centre Court” という名称の由来。 
センター・コートとNo.1コートは、2週間の大会以外は使用されず、その他のコートもクラブ・メンバーのみに開放される。
それほどコートの芝の整備には労力が払われているのだ。

素早くデッド・ボールを拾い、コート際のポジションに戻る "Ball Boys and Ball Girls" (BBGs)。
彼らは、試合会場に融合し、目立つことなくトーナメントを円滑に進めるという重要な役割を担う。
1920年、初めて Ball Boys が採用された。 現在は、地元の学校から選抜され、筆記試験、体力測定などを経て、大会の何カ月も前からトレーニングを受ける。

ウィンブルドンの伝統色は、ダーク・グリーンとパープルであるが、トーナメント参加のプレーヤーは、白色を基調としたユニフォームの着用が規則となっている。
 
試合観戦のチケットは、クラブ・メンバーやクラブの債権所有者に優先的に販売されるが、一般の観戦希望者も購入できる。
当日券も販売されるが、朝早くから、または前の晩から、行列に並ぶこととなり、世界中からやってきた観戦希望者が列をなす様子は、ウィンブルドンの風物詩ともなっている。

2009年、センター・コートに可動式の屋根が設置された。これで、目まぐるしく変わる英国の天候に対応でき、プレーヤーの集中力も妨げられることはなくなった。
雨が降りだした時、素早くコートにシートを掛けるスタッフの光景も、ウィンブルドンの一つの風物詩のように思っていたが。。

テニス観戦も夏の社交の一つで、観戦の席に王室のメンバーや著名人の姿も多く見られる。
テニス観戦の合間に楽しむ、苺のクリーム掛け、シャンペンや Pimm's cupは、優雅な伝統として現在も続いている。

"Pimm's cup" は、1823年頃、the City でオイスター・バーを営んでいた James Pimm が、ジンをベースにハーブやリキュールを加えて作り出した "No.1 Pimm's Cup" が元になってできたカクテル。
林檎、オレンジやレモン等のフルーツに胡瓜、ミントを加え、クリアな炭酸のレモネードで割った Pimm's cup は、英国の夏の社交の場には欠かせないカクテルになっている。

ウィンブルドンの試合会場に行けなくても、自宅のソファで伝統の味を楽しみながらテレビ観戦するのもいいものだ。

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