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深くて美しい深海のような小説


私のアウトプット力では
うまく言い表せないくらい、
綺麗で深みのある小説だった、
吉本ばななさんの
『キッチン』と『満月(キッチン2)』。

本当にどのように書けば良いのか
わからないので、
感想をひたすら書いてみます。



祖母の死、突然の奇妙な同居、そしてまた親しい人の死


なぜ、人はこんなにも選べないのか。
虫ケラのように負けまくっても、
ごはんを作って食べて眠る。
愛する人はみんな死んでゆく。
それでも生きてゆかなくてはいけない。

吉本ばなな『キッチン』より引用

『キッチン』、『満月』の
2つの連なった作品を通して、

主人公のみかげは
大好きな人を2人亡くします。

ただ、物語が始まった時点で
みかげの両親と祖父は
亡くなっている設定のため、

『キッチン』で祖母が
亡くなった時点で、
家族は誰もいない状態になりました。

そして、
祖母が亡くなり、
祖母にお世話になったという青年の家に
半年間、居候することになります。

不思議な出会いですが、
青年とその母(父)との
3人の生活が続きました。

キラキラした楽しい生活というよりは、
みかげの複雑な気持ちと
青年とその母の2人との
宙に浮いたような生活でした。

真っ暗闇の奥深くにいるはずなのに、
どこか明るい雰囲気のある
不思議な生活のように感じました。

『キッチン』は、
その不思議な生活の様子が
描かれています。

そして、『満月』では
居候していた青年の母が
突然殺されてしまいます。

残された主人公みかげと青年は、
どこにも発散できない
形容のできない感情を持ちながら
日々を過ごしました。

みかげと青年は
一緒に生きていく、
という結論で小説は幕を閉じます。

が、
なんともスッキリ
しきらないというか、

でもそのスッキリしない
おセンチな感じが、
この小説に引き込まれる
理由の1つで、

読み終わった後も、
ズーンとした気持ちになりました。



誰にでも、闇がある

闇がある、という言葉が
しっくりはきませんが、
それ以外の言葉を
うまく見つけられませんでした・・


『キッチン』、『満月』の
2作を読み、

主人公のみかげのように、
誰にでも、
何者からも救われようのない、

深くて寂しい過去や経験がある、
そんな風に思えた小説でした。


波乱万丈すぎる人生を
淡々と水平線を歩くように
進んでいるような
不思議な感覚の小説でした。

吉本ばななさんの作品を
初めて読みましたが、
他の作品も読んでみたいと思います。



そういえば、
さくらももこさんのエッセイにも、
吉本ばななさんのお名前が
よく出てたなぁ・・






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