【短編】溢れ出る想いの行く先を、私は知らない。【即興小説トレーニング 改訂版】
放課後の音楽準備室。
部室もない軽音楽同好会(仮)の活動場所だ。音楽教諭のお目こぼしで使わせてもらっている。
指先に触れる弦の感触を楽しみながら、私は適当にギターをかき鳴らして遊んでいた。
なんだか、今日はいいメロディが浮かぶような、そんな予感がしていたから。
「ご機嫌だね?」
そんな私に、そいつは遠慮なく話しかけてくる。
私の頭に浮かぶメロディーがそれでかき消えてしまうのだが、そんなのお構いなしだ。
いつものことなので、気にしない。
話しかけられた程度