音楽家としての3つの存在とは
3つの存在
音楽家には3つの存在の仕方があります。
①事物存在
②道具存在
③現存在
①事物存在
事物存在とはただ目に映っているだけの存在です。例えば目の前にピアノがあれば、それは事物存在です。目の前に楽譜があればそれも事物存在です。
他の音楽家もただの事物存在です。
②道具存在
道具存在とはテンポを確認するためのメトロノームや、楽譜を書くためのペンなどです。
③現存在
現存在とは音楽家自身です。
状況によって変わる
この3つの存在は状況によって変わります。例えば、事物存在のピアノも演奏すれば、道具存在に変わります。道具存在であるテンポを確認するためのメトロノームも使わずに置いておくだけならただの事物存在になります。
音楽家の現存在もただ、ぼーっとしている音楽家が隣にいるならただの事物存在ですし、他の音楽家が自分の伴奏をしているなら道具存在です。
自分の現存在
自分の現存在はどのようになっていますか? 私達は生きることであらゆる存在と関わり、その存在の意味を作り出しているのです。
自分が思考し、経験し、知性を身に付け、感情を動かすことで他のモノの存在の意味が変わるのです。たとえば、楽器が弾けないなら全ての楽器はただの事物存在です。現存在の音楽家は楽器が弾けるので、道具存在に変わってくれるのです。主体的にすべてのモノの存在の意味を表しているのです。
時間も
さらに音楽家としての現存在の自分は、過去、現在、未来という時間を抱え込んで存在しています。
新しい未来に、新しい世界と関わり、新しい存在の意味を見付けるのが「実存的生き方」なのです。
苦しい
これは苦しいんです。
日常的に通俗的なSNSや動画サイトやニュースなどにうつつを抜かし、無意味な人間と無意味な会話をしながら、毎日同じように過ごす方が楽なのです。
これが99%の日本人音楽家がやっていることです。だから、パッとしないのです。
このままだと
このままだと、ただ死ぬのを怖がって、死ぬまで、いつまでも死なないと思いながら、音楽家として生きるということに目を背けているだけになり、その死が来た時にこの上ない後悔をします。
死ぬから生きる
死ぬのが分かっている、確実に死ぬということを知っている、それが五秒後かもしれないと思い肯定することで、現存在としての私達音楽家が自分の世界のあらゆるモノの存在の意味を創り出すことができるのです。
この内容が一人でも多くの音楽家に分かって頂けることを心から願っています。
お察しの通り上記はすべてハイデガーです。この書籍は一家に一冊あるといいでしょう。
音楽と言う目に見えないモノを扱っている私達音楽家は形而上的な考察も必要と考えています。
まとめ
私はひとりでも多くの日本人を思想的に考え直して欲しいと思っています。今年中盤はこの啓蒙に捧げるつもりで下記セミナーを開催することになりました。興味があるかたはHPをご覧ください。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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津本幸司
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