#55 『面』から『線』へのまちづくり
2024年4月某日
まちづくりやエリアマネジメントの議論の中で、よく耳にする表現として「点から線、そして面へ」というものがある。具体的には、地域内での局所的で小さい取り組みからはじめて、ほかの地域のそれとつないで、ひいてはエリア全体に活動を伝播させよう、というものである。
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さて、先日、「地域活性化の失敗学(飯田他、2016)」に改めて目を通していたら、面白い事例が記載してあった。
カリフォルニア大学の研究で、「都市間の人的ネットワーク」について、定性的に研究したものがあり、派生研究も多く生まれているのだという。これらの研究によると、移民の多寡によって、移住先・移住元の都市間のネットワークが強固なものとなり、文化や投資の交流が進むのだとか。
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要するに、「海路に沿って、港があって、中国の人が沢山きて、文化・ビジネスが伝来して、中華街ができた」みたいな話である。都市間の人的移動が契機となって、独自の経済活動が生まれることは、普通にある話なのだが、注目したいのは「A都市とB都市の”線”」でのエリアが成立していることである。経済”圏”という面ではなく、経済”線”というイメージが面白い。
このことを地域活性化に応用すると、可能性が広がると感じている。というのは、地域を「面」で捉えてしまうと、地域間連携などは「地理的に近接、連続した範囲」でしか実現しづらくなる(しやすくなるとも言える)。しかしながら、「ジモト+α」の範囲内の地場産業・文化・歴史などは、慣れ親しんだものも多く、コラボ事例も様々に実施されるなか、足元では組み合わせの新奇性が生まれづらくなっているようにも感じる。
そこで、である。地域を「線」で捉え直すことで、「地理的に近接、連続した範囲」を飛び越えた地域間連携の可能性が浮かび上がってこないだろうか。例えば「姉妹都市提携」などは、筆者の住む都市でも存在し、思いもよらない国・都市と締結されていたりする。このような文化的ギャップを上手に活かすことで、地域活性化のアプローチについて、新たな着想を得ることができるかもしれない。
パラオ共和国など、一体どのようなグルメやエンタメがあるのか。興味は深まるばかりである。
ほなら。
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