#16 『ワカモノ』の加齢臭
2023年4月某日
山口周氏の『劣化するオッサン社会の処方箋(光文社新書)』を読んだ。ざっくりと理解した話はこうだ。従来、年配者は若年者よりも充実した経験と知識を保有しているから、情報蓄積媒体という点で優れていた。だから敬うことが美徳とされた。しかし、最近は環境変化のスピードが早くなってきたり、情報のコモディティ化が進み、年配者が相対的に多く保有していた『経験』や『情報』の価値の陳腐化が進んでいる。ゆえに、年配者だから無条件で『優れているとは言えない』ということである。その通りだと思う。
このことに関連して、地方における組織や人材を考えてみると、『オッサンのオッサン化』は当然に進んでいることに加えて『ワカモノのオッサン化』という現象もあると思う。特に、ワカモノの強みともされる、環境適応能力や、直面する課題を解決する力などの『動的な力』に乏しく、半ば無気力化している人材も少なくないと感じる。この要因として、恐らく、進学・就職・キャリアパスなどについて、『なんとなく地方』『なんとなく安定企業(公務員、金融機関などの古典的組織)』を選択し、『そこそこの仕事』でやり過ごそうとする価値観が蔓延った結果なのだと思う。というか、地方がそういう人材に選ばれやすい場所になってしまった。
筆者としては、地方がチャレンジするフィールドであって欲しいし、消極的理由で選ばれ、消極的な姿勢で過ごしてほしくないと考えている。実年齢や性別に関わらず、オッサン化した人材は席を空け、発展途上でも意欲と資質を備えた人材に権限委譲が進むことを祈る。なお、オッサンの相手をするために浪費している『時間』も併せて返してあげてほしい。
ほなら。