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#15 二極化する『経験豊富なシニア』

2023年4月某日

最近、地方のビジネス界で『荒ぶる先輩(シニア)』に悩む声が散見される。具体的には、会議体などで、ファクトに基づかない『経験』『感想』『持論』を一方的に述べ続け、場を制圧してしまうといった不具合が生じている。『今どきのワカモノ』はやさしいから、『傾聴』を基本姿勢としていることも、彼らのマウントエンジンを加速させるのだろう。みなさんお疲れ様です。

さて、少々毒づいた書き出しになっているが、実は、筆者は人生の先輩(シニア)を大変リスペクトしている。過去には、財界の大御所の方の鞄持ちをしていたこともあるし、その時に伺った話が今の自分の価値観を作ったと言っても過言ではない。つまり、人によるということだ。

『この人はスゴイな』と思う先輩(シニア)の特徴として、次の3つを挙げてみたい。

1.視野がタテにも及ぶ
2.後光効果を用いない
3.チャーミングである

『1.視野がタテに及ぶ』とは、年齢や序列に関係なく、良いものに目配せできるということである。良くない例としては、著名だが若い研究者を招いた講演会にて、高齢な経営者が少々高圧的な『若造めが』的な態度で接するようなことだ。こういった光景は実際よくある。しかし、優れた先輩(シニア)はこのようなことが一切なく、とてもフラットで気持ちよく接しておられる。それを見て『ああ、この先輩(シニア)は立派な人だな。』と、結果として本人の権威性が高まることになる。

『2.後光効果を用いない』とは、『著名な○○』をキーワードとして持ち出して、自分の名前と組み合わせて話を構成し、自分の権威性向上を画策するような『さもしい行為をしない』、ということである。例えば、以下のよ うな会話パターンに心当たりはないだろうか。

:先輩も○○にいらっしゃったんですか。○○といえば、以前△△さんにもお世話になりました。最近著書を出版されて、大変なご活躍のようですね。講演会にも引っ張りだことか。
先輩:おお、『△△(※敬称を省く点がポイント)』か。こないだ飲みに飲みに連れていってやったよ。あいつ、昔から世話してやってるけど手がかかるんだよ。まったく…斯々然々。
:・・・。

※筆者の想像上のフィクション。

ファクトをもって、社会的に評価を得ている人について、『○○”くん”』『○○』などの呼称を用いながら、マブダチあるいは目下感を演出することで、自身を同列あるいは上位に位置づけようとする高等テクニックなのかもしれないが、一流の先輩(シニア)はそのようなことをしない。


『3.チャーミングである』とは、『すごい人』ほど、話をするほど『すごそうに思えない』感覚をもたらす不思議である。例えば、賢いのに、賢く見えない、思わせないということは、簡単そうでとても難しいものである。一流の先輩(シニア)は、どこか庶民的で、それでいて知的なのである。下品や下世話とは無縁で、鼻につく知識披露もない。このバランス感覚は尊敬に値する。こういう雰囲気『粋』というのだろう。

歳を重ねることは、時間の観点から無条件で『経験』は積み重なるだろう。ただし、積み重ねる『経験の質』に目を向けることができれば、『経験豊富』な先輩(シニア)にも人間性もまた、様々に派生していることに気づけるだろう。引き続き、『良質な経験が豊富な先輩(シニア)』にご指導賜りたい。

ほなら。

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