日本の農村で生まれた布、BOROが世界を魅了している話
日本に眠るお宝が、日本国外で賞賛されることは珍しくない。
今回注目したい『BORO』も、日本ではあまり知られてないが、世界で人気を誇る正真正銘の日本文化の1つ。
アート・ファッション界からラブコールが絶えない『BORO』はサステナブルファッションの教科書でもある。
21世紀の私たちが学ぶべき日本の知恵『BORO』の愛され遍歴を見ていこう。
BOROは東北の農村で生まれた
BOROは、たくさんの古布を継ぎはぎして作られた布で、日本語の形容詞「ボロボロ」に由来している。
寒さを凌ぐために、20世紀以前の東北で編み出された手法で、布が高価で簡単に買えなかった農民の文化だった。
わかりやすく言えば、東北の農村生まれのパッチワーク。
このパッチワークは年世代も超えて受け継がれ、何重にもツギハギされ続けた。
布がとても高価だったため、どんなに小さな布きれも捨てずに藍や泥で染め直し、木綿の糸で重ねて刺繍し続けたそうだ。
BOROは、日本では貧しさの象徴であり、恥ずべきものだったため、長年、表舞台に出ることはなかったが、国外アーティストの目に留まったことで世界的に賞賛されるようになった。
ルイヴィトンにも愛されるBORO
特に注目したいのは、BOROを全面的に取り入れたルイヴィトンの2013年春夏コレクション。
現在でも、国内外のヴィンテージストアで取引されていて、アイテムによっては200万円ほどの値段が付いているアイテムもある。
さらに、その後も、BOROにインスパイアされたアイテムが頻繁に登場していて、2023年5月現在、日本のルイ・ヴィトンオンラインストアには下記のセットアップが掲載されている。
他にも2014年アルチュザラ、2015年コムデギャルソンをはじめ、世界中のブランドで毎年のようにBOROが採用されている。
BOROなスニーカー
最近発表されたファッションアイテムの中で、一番アツいBOROなアイテムはANT KAIが手がけたスニーカーかもしれない。
この投稿のコメント蘭を見れば、いかにBOROのデザインが海外でHOTかが一目瞭然だ。
ANT KAIは独自の手法でリメイクしたスニーカーが人気のアーティスト。
こちらの『DARK INDIGO BORO』は1900ドル(約26万円)。
大人気で再販もしたそうだが、現在では完売している。
彼はBOROシリーズを他にも発表していて、都会的でモダンなデザインに仕上がっている。
BOROという知恵
地球環境にあまりにも劣悪なファッション業界が、早急にサステナブルでエシカルにシフトする必要があるのは周知の事実である。
どんなに小さな古布も、捨てずに何度も染め直して、幾重にもツギハギし、世代を超えて引き継ぐ。
それだけではなく、見た目を美しくするために、縫い付ける部分の刺繍を工夫する。
150年以上前の日本文化が教えてくれるBOROのスピリットは、「持続可能性」という大きな問題を抱える21世紀の私達にとって、大きなヒントを秘めていそうだ。
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