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話し手に何かを返すなら『ポジティブな仮説』を返そう! 【対話力 #12】

今回も、前回に引き続き「再構成」の話をするのだが、今回のテーマはズバリ『ポジティブな仮説』である。

そもそも対話者が、傾聴したり、質問したり、相手の話を理解したりするのは基本中の基本。これはほぼ絶対にやるべきことだ。

「絶対に○○すべき」なんて言う人のことはあまり信用しないほうがいいが、それくらい対話において「傾聴」「質問」「理解」というのは大事だよ・・・ということで、そこはさらっと流して欲しい。


さて、それに対して、ここ何回かのnoteで語っている「再構成」というのは、言わば “プラスアルファ” の要素である。たとえるなら、なんとかフラペチーノに乗っているココアパウダーであったり、アイスクリームに振りかけられているカラフルなチョコスプレーのようなものだ。


つまり、最悪なくてもいい・・・


なくてもいいが・・・

それがあることによって対話の印象がガラリと変わったり、相手の満足度が大きく高まることもある。
対話者の行う「再構成」あるいは「フィードバック」とは、そういうものだと私は捉えている。


そこで本当に重要となってくるのは、あなたが対話者として、


●どんな再構成をして

●どんなフィードバックするのか


という部分だ。
私自身、このテーマについては日々悩んでいるし、考え続けてもいる。
「対話者とは引き出す人である」という大前提のなかで、私たちは対話者として、いったい何を話し手に返せばいいのか。

あくまでも現時点での話だが、これについて私はひとつの「方針」のようなものを持っている。

話し手に何かを返すなら、何よりもまず


「ポジティブな仮説を返そう!」


というものだ。


「ポジティブな仮説」、たとえば


「私は職場のミーティングで、たいした意見が言えず、いつもみんなのことを『すごいなぁ・・・』と眺めてばかりいるんです・・・」


と語る人がいるとしよう。
本人はその状況を問題だと捉えているし、悩んでいるのかもしれない。しかし、この状況にももちろん「ポジティブな仮説」は成立する。


●もしかしたら、この人が「すごいですよ!」「それって、とてもいい意見だと思う」という反応をすることで、他のメンバーはものすごくモチベーションを高めているかもしれないし、気持ちよくミーティングに参加できているかもしれない・・・

●自分では目立った意見を言わないけれど、ミーティングの場で、誰よりも熱心に、共感的にみんなの意見を聞いているのではないか・・・


そんな「ポジティブな仮説」は立つ。
これは対話者の役割のひとつだと私は考えている。


◆あなたがいることで、他のメンバーが「意見を言いやすくなる」とか「気持ちよくミーティングに参加できている」なんてことがあるんじゃないですか?


◆あなたが「一番の聞き役」になることで、みんなが話しやすい雰囲気を自然に作っていて、ミーティングがスムーズに進んでいるんじゃないですか?

そして、そのことに気づいている人もいるんじゃないですか?


実際、こうした「ポジティブな仮説」をフィードバックしてみると、「たしかに、そういう側面はあるかもしれない・・・」「そんなふうに言われることはよくあるけど・・・」と本人が〝自らの価値を再認識する〟ということはよくある。


これが私の言う「ポジティブな仮説」だ。

ただ「相手を褒めよう!」という単純な話ではなく、
相手から「引き出した情報、要素」を吟味、再構成してみたり、
目の前にいる相手の人柄、性格などをつぶさに感じたり、
行動パターン、周囲から得られるだろう印象、評価などを想像しながら、


● この人には、こんなポジティブな側面があるんじゃないか・・・・

● こんな「おもしろさ」「魅力」があるんじゃないか・・・

● 周囲の人たちは、この人にこんな評価、印象を抱いているのではないか・・・


という「本気の仮説」を立てるのだ。

間違っても「彼氏にフラれた」という人に「きっと彼もまだあなたのことが好きだよ」なんて無責任な慰めの言葉をかけるのとは違うし、相手を喜ばすためだけのテキトーなお世辞とも違う。

あくまでも対話者として、相手の話を真剣に聞き、徹底的に考え抜き、自分のイメージをフル活用させた上で組み立てるのが「ポジティブな仮説」である。


しつこいようだが、それを話し手に「返すか、どうか」は本当に慎重にならなければならない。
再構成とは、あくまでも対話における(最悪、なくてもいい)「トッピング」なのだ。


しかし同時に、


あなた自身が「話し手」の立場だったら・・・


というところも想像してみて欲しい。

あなたの話を真剣に、肯定的に、興味を持って聴いてくれて、
その上で徹底的に考え抜き、
あなたの性格や振る舞いをていねいに感じ取ってくれて、

その上で見えてくる「ポジティブな仮説」を再構成し、フィードバックしてくれるとしたら・・・・


これって、とんでもなく素敵なことではないだろうか。
涙が出るくらい嬉しいことではないだろうか。


そんな「素敵な対話者」が自分の人生にいる。
もうそれだけで「人生の豊かさ」のひとつを手にしているようなものだと私は思う。


だからこそ、私自身がそんな対話者になりたいと思っているし、あなたにも、そんな「とびきり素敵な対話者」になって欲しいと本気で思っている。







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