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世田谷散歩

久しぶりに晴れた休日、冬枯れの風景は秋よりも良いですねぃ。
風が強く帽子がたびたび吹き飛ばされそうで、手で押さえるのが面倒でしたが、鼻にツンとくる冷たさも何だか心地よいくらいに良い天気。

先週から予約を入れていた、東京農業大学に付属する「食と農の博物館」に行ってまいりました。先週の博物館巡りの一環です。
さらに何と、漫画家・荒川弘先生の「百姓貴族展」もあり。僕は荒川先生の作品ではファンタジーよりも農業ネタが大好きなのです。

さらに、僕は日本の食文化にも興味がある。たまたま昨日、ネットで見た記事から「こんぶだし」「かつおぶし」という「和食のもと」とも言える食材の歴史に興味をもった。「かつおぶし」の元祖が古代の律令制の税制にもあったのに驚いた。
もちろん、「農業」メインの展示だろうから、かつおぶしの「か」の字も展示されない予想はできる。しかし、何かつながる片鱗が見えれば、僕の妄想も広がっていく。

小田急線の経堂駅を久しぶりに降りる。目の前にある農大通りの先に何があるのか僕は全く未知だった。
ところで、お腹が痛い。汚い話だが、新宿でトイレをすませ、経堂駅では4~5もある個室が何故かいつもすべてふさがることが多いのだが、今回は無事空いていた。これまた用を済ませ、農大通りを歩くのを楽しもうとした。

ところが。僕が勝手に作った言葉で「トイレ恐怖症」というのがある。
「トイレが近くに無いと、脂汗が出てくる」という精神的な症状に、自分を勝手に患者にしているのだが、それが押し寄せてきたようだ。
便意があるかどうかはわからない。しかし、「トイレが近くに無い」という緊張感が、お腹を締め付けてくるようで。

コンビニを通過し、トイレがあるかどうか見る。無さそうだ。しかし我慢できる。
しかし、やがて焦りはじめる。駅前の店の密集を過ぎると、閑静な住宅街。
目的地まで徒歩20分近く。ただ、徒歩10分くらいか、農大の前に公園があるのが希望だ。

冬枯れの何やら全体的に薄暗い昼間に差す日差しの美しさ、さまざまな目的で行き交う人々の背景の尊さ。
しかし、そんなのどうでもよいくらいに、僕は手に汗を握っている。
便意がありそうな無さそうな。僕は妄想にはまっていたり、その妄想を振り切ろうとしていて、ひたすら心が滅茶苦茶だった。
残念ながら、地図にあったはずの「公園」の存在は幻だったようだ。
非常手段、今通過している農大や農大付属の中高校にトイレを借りに行くか。いや、それは大きな迷惑で、ひょっとしたら不審者に近くなる。
いろんな妄想を抱え、お腹が痛いような、明らかに精神的に辛いような。

で、何やかんやで農大目の前にある商業施設の奥にある、博物館へ到着。
きっとトイレはある。その安心感からか、「もう便意が最高点に達すればトイレを求めよう」と、博物館をまず楽しむことに頭が切り替わった。
安直なものだ。便意が一気に無くなったように軽くなった。

さて、博物館の内容だが、2階はひたすら「鶏の剥製」と「酒器の展示」だった。どうやら目的にまったく合わない。

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とりあえず、係の人に確認して撮影をしまくるのだが。僕はそこまで鶏に興味を持っているわけでもない。「この鶏、でかいなぁ」「この鶏、派手だなぁ」くらいの感想しかない。どんだけマニアックなのだろう、農大。
館内に民家と多くの農具が展示されていたが、どれもどこかの博物館で見たことあるような。

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興味を持ったのは、農大を作った「榎本武揚」と、初代校長の「横井時敬」の展示だ。だが、当然「かつおぶしとのつながり」なんて片鱗も見られなかった。
せっかくかねて興味があった東京農大、石川雅之先生の漫画「もやしもん」などでも農大漫画というジャンルを通じ憧れがあった。何かお土産でも買おうかと思ったが、コロナ禍で館内の店は閉まっている。
外に出て、農大を通過しようとするが、何だかせっかく来たのにもったいない感じ。せめて農大をスマホで撮影しようかと思い近づいたら、「10月29日からの収穫祭は、ネットのバーチャルで開催することになりました」と。本日29日。本来なら、僕が最も憧れ人生で1度は行ってみたい「農大の収穫祭」自体がこうなってしまっていた。
僕の中で、むしろ完全にあきらめがついた。

さあ、このヤキモキした気持ち。僕はこのまま「世田谷郷土資料館」を目指す。何と、徒歩20分で行けるじゃないか。僥倖!! そうだ、ここからがメインイベントだったのだ!!

トイレは「食と農の博物館」でバッチリすませた。静かだった館内、けっこう間口が広く隣接した男女トイレ、あいにく僕の直前に家族連れや女性たちの何人かがトイレに入った。僕は入りにくい。そう、けっこう音が響いているのだ。トイレ近くに響く、流す音、トレぺを取る音。
本当に下品な話で申し訳ないのだが、いわゆる「ブリブリ音」が響きそうなのだ。僕は息を殺し、音を殺しながら、町歩きを楽しむ強い意志でひたすらひねり出そうとした。
さて、すべてのしがらみをすべて過去に流して振り切って、いざ!歩くぞ!!

歩くの楽しい! 徒歩15分くらいで、「ボロ市通り」と、その門柱もある!
世田谷代官屋敷、貫禄ある昔の建物! その敷地内にある資料館!無料!!
原始の世田谷の発掘物が最低限並んでおり、コンパクトでわかりやすい。
「世田谷」という町が、僕の中に入っていくような感覚。広がる妄想。
欲を言えば、もっと昔の世田谷の写真が見たかった。

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さて、そろそろ2000字なので話も閉じよう。
その後、僕は世田谷城址を目指す。徒歩10分ぐらい。
室町時代~戦国時代に世田谷を支配した吉良家の屋敷跡だ。たぶん、「東京城址女子高生」という漫画にのっていたような。ちがっていたらすいません。
うん、ただの公園、ちょっとした丘だ。落ちていたドングリが丸くてかわいかった。2つをちょこんと乗せて撮影。そしてグッバイ・ドングリーズ!

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毎回、カップルの後ろを足の速い中年のオッサンがせまっていくのが申し訳ない。
さらに、すぐ近くに豪徳寺がある。もう2,3回は行ったことあるし御朱印ももらっているが、さらに見学しよう。
あ、そうだ! 豪徳寺は最近、漫画の「ふらいんぐうぃっち」の話の舞台となり、聖地巡礼として小さい界隈で有名になった。よし、漫画と同じ場所の写真を撮ろう!

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そして豪徳寺は、江戸時代に吉良家に代わり世田谷を支配した井伊家の菩提寺。井伊直弼の墓に参ろう。何とか、最近日本周辺を威嚇航海した中国とロシアの脅威と、中国から広まったコロナウィルスの脅威から、守ってくださるように。開国・通商を進めた井伊直弼公、ぜひ守ってください!

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そしてそう! 何と世田谷はこのすぐ近く(徒歩20分くらい)に吉田松陰をまつった「松陰神社」もあるのです。

井伊直弼公が安政の大獄で処刑した松陰先生を祭った神社も、すぐ近くにあるという胸熱の展開!
これは、行かなければならない! ああ!
スマホの充電が2%に! 何とか松陰神社で写真取れるようにがんばってくれ!
スマホで方向だけ確認し、ひたすら道を信じて進むと、よし!国士舘大学が見えてきた! この近くに松陰神社があったはず!
到着! 充電1%! 立派な鳥居、松陰先生の像、敷地の奥にある「松下村塾」の複製、社殿と七五三のお宮参りをしている家族のお参りの後ろ姿。
それを撮った瞬間、スマホの充電が死んだ。

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どっと疲れた。路面電車というべき東急世田谷線に人生2度目の乗車。景色を見ながら眠たくなる。
小田急線豪徳寺駅に隣接している山下駅をスルーし、下高井戸駅で降り、京王線で新宿へ。そして帰宅に向かう。

まあなんだかんだ楽しかった。町歩きと歴史と民俗・漫画好きにとり、いろんな出会いがあったようでした。印象深かったのは、豪徳寺にて多くの観光客が、豪徳寺にて始まった「招き猫」を楽しそうに撮影していたこと。
昔の観光客も、物見遊山しながら、絵を書いたり、何気ない景色を見て楽しんでいたのだな。
これも大きな人生の喜びなのだろう。けっして派手で豪華じゃない旅行なのだが、散歩を楽しめるようになって僕の多幸感が大きくなった。

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今、仕事の書類整理をした合間にこの日記を書いていますため、画像は後日、まとめて載せます。みなさまお疲れさまでした。

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