『Human Flow』アイ・ウェイウェイ監督、WILL2LIVE映画祭(難民映画祭)(エシカル100考、58/100)
WILL2LIVE映画祭(難民映画祭)で、アイ・ウェイウェイ監督の『Human Flow』を兆さんと見てきました。
https://unhcr.refugeefilm.org/2019/film/human-flow/
人生を奪われた人たちが、流れつく先も見えないままに彷徨いゆく、そんなあり様が淡々と、しかし克明に描かれたドキュメンタリー。
『ヒューマン・フロー(大地漂流)』という題名が、重く沁みます。
シリア、ギリシャ、トルコ、ドイツ、ヨルダン、レバノン、ガザ、バングラデシュ、アフガニスタン、ケニア、メキシコ、フランス、イタリア、、、。23ヶ国で撮影された難民の姿。
国境を封鎖され、向かう先に行きつくこともできずに鉄条網の脇にテント集落を作っている様子は、漂流民、棄民という言葉の通りだと感じます。
逃げてきて、どこかに向かっていく人たちではない。逃げてきて、どこへも向かえなくなっている人たち。
逃げて行く道程も塞がれ、ただ立ち尽くして時が過ぎてゆく苦しみ絶望は、想像もできません。
難民の数は、全世界で7080万人だそうです。
半数が、子供たち。
映画のなかでも、子供たちの姿が印象的でした。ボートから引き上げられて銀のエマージェンシーシートにくるまれ虚空を見つめる子。難民キャンプを襲う嵐に茫然とする子。テント内で無邪気に遊ぶ子。国境が封鎖され行き先が失われたことに途方にくれる親の隣で風船に興じる子。難民船から助けられてすぐに産まれる赤ちゃん。
そんな子供たちは、はたしてどんな夢をみるのか。私たち人類社会は、どんな夢を育ててあげることができるのか、できないのか。
難民は、戦争や内戦や民族とか宗教の対立や、、という人間同士の争いから住む所を追われてくる印象があります。おそらく、今まではそのケースが大半かと。
しかし映画でもすこしだけ触れていましたが、気候変動のために故郷に住むことができなくなった難民もいます。
残念ながら、これからその数はもっと増えてくるでしょう。ClimateEmergency、気候危機という言葉は、誇張ではない。兆さんが、千葉に行こうかと話しをされてましたが、難民のことと千葉の災害のことは別問題ではありません。
映画に写っていた人たち、特に子供たちは、今年の欧州などの異常な酷暑を生き延びられたのか、、。直射日光をさえぎるものも少なく、暴風雨も防ぎ難い難民居住地では、亡くなる人も多かったのではないか、と思います。
気候変動難民に対して、人類社会はどう対処していくべきか、、。また難しい問題が増えるかもしれません。
アイ・ウェイウェイさんは、現代芸術家として作品を見たことがありますが、映画は初めて。社会活動も熱心なんですね。
難民の皆さんと真摯に向き合って、その息づかいを感じさせながらも、感傷的にも情報過多にもならずに、それぞれの姿をクリアに伝えてくれる作りでした。
140分と長く、ドラマチックでもないですが、説明が極力省かれているため、どこで何の場面で何が起こっているのか考えながら世界各地を巡ることになり、飽きません。
ときたま、これは何を表現したいんだろうとうシーンもあり、やっぱり現代芸術だなあ、、と。ドローンなどを用いた映像は綺麗です。あと、アイ・ウェイウェイさんのチャーミングさが清涼剤。
映画を観終わり、さて、、何かできることは、、と考えます。とりあえず地元の高田馬場はミャンマーからの難民だった方が多く、カチンやロヒンギャの方もいる。そんな方たちが営むミャンマー料理屋さんもたくさんある。だからまずは明日はミャンマー料理かな、、、。
あと、ミャンマー料理屋だけでなく、ウイグル料理屋もありますね。
とか考えていたら、環境大臣が国連気候変動サミットに向かった先でステーキを食べたという報道があり、、なんというかその社会的意識のなさというか国際的危機感の鈍さというか、さすが難民認定率0.2〜0.4%の国。。
WILL2LIVE映画祭(難民映画祭が今年から名称変更したそうです)は、九段下で明日23日まで、来週末28日はグローバルフェスタで上映、10月も東京、名古屋で上映があります。
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