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『しあわせの経済』とUnity/つながりについて(エシカル100考、69/100)

2019年9月にインドのラダックで開催された「しあわせの経済フォーラム」の講演をまとめた映画が大変に素晴らしかったので備忘録的シェア。

エシカル、SDGs、サーキュラーエコノミー、共感資本主義、Well-being、気候危機、自然と人の調和などなどに真面目に取り組みたい人にはぜひ見てほしい内容だった(実は忘年会帰りに参加したためけっこうなカボチャ頭だったのだけど、なんとか内容を覚えてきたのだ・・)。

映画のタイトルは『Return to Local』。

3部構成になっていて、1部は生きる知恵を学ぶことについて。生活のなかで知識ではなく知恵をみにつけていくラダックの人たちの様子。

2部は自治を認められつつも地域をつくる主体性を取り戻しえないラダックの現状について。「政治の民主主義」とともに「経済の民主主義」をもたないと、という話しなど。

3部に、Return to Localという題名に直結するコアなメッセージがてんこ盛り。

「Unity of Life」というインド/イギリスの思想家サティシュ・クマールさんの言葉が印象的だった。

産業革命以降の資本主義(それは大量消費資本主義といってもいいだろう)のなかで、デカルト的な二元論が応用されながら分離が進んでいった。自然と人間が分離し、白人と黒人が分離し、あなたと私が分離し、分離が世界に充満して、そして人間は孤立した存在になった、と語られていた。

その分離、孤立を回復するために、つながりを取り戻すことが大切。そのつながりが「Unity of Life」。

これは、まさにエシカルで僕が取り組んでいることと一緒かと思う。

エシカルは、人と社会の関わり方のこと。「つながりを想い、これからを選ぶ」こと。

行き過ぎた資本主義によって、誰がどこで作ったのかわからない食物や服や、組織の仕組みやしきたりに囲まれて生きる、社会と断絶し孤立した人間のあり方に待ったをかけたい。

時間的空間的なつながりを取り戻し、そのなかの当事者として生きることが、人間としての幸せにつながるのでは、人間性の回復になるのでは、と思う(理念的なことを説明抜きで書いちゃうけど)。

「しあわせの経済」を考えるなかで、しっかりとこのことが発せられているのが嬉しかった。

おそらく、資本主義も民主主義も変容する時期にきていて、その中でポイントとなるのは孤立からのつながりの回復であり、つながっているからこそ一人ひとりが何かを行うことができるという当事者性の回復なのだろうと思う。

つながりの中で、母でないものは何もない、という話しもあった。母というのは(ジェンダー的なことは置いておいて)何かを生み育てる当事者という意味だろう。

誰もが母として、時間的空間的なつながりを生きることが「Unity of Life」なのかなと思った。

と同時に感動したのは「UnityとDiversityはともにダンスを踊る」という言葉。

Unity、つながり・一体性の中には多様なものが抱合されているので、UnityとDiversityは相互補完しているのです、と説かれていた。

これはまざに、Diversity&Inclusionの姿だよなと思う。

一体であることは、単一であることとは違う。つながりを取り戻すということは、さまざまな他者とつながっていくということ。

そんなことを再確認した言葉だった。

『Return to Local』という題名について、なんでローカル??とちょっと思ったりしたけど、ローカルというのは小さな地域ということではないのだろう。

つながりをもって、人間と人間が当事者として向き合ったコミュニティのことをLocalとよんでいるのかな、と思った。

映画を監督したのは、藤岡咲季さん。

藤岡さんとはもう3年以上の付き合いになるのかな。SAL.のトートを売る話しから島根のエシカルファッションショーを企画したり等々をして、先日のGEWELオープンフォーラムについても構想の壁打ちにつきあってもらって、彼女の企画した難民や日本に生きる外国籍の方などの暮らしや仕事についてのセッションもファシリテーターをしてもらった。

彼女の視座はとてもセンスがよくていつも学ばせてもらっているけど、なんかしょっちゅうラダックとか行っているなあ・・・と思っていたらまさかこんなすごいものに関わっていたとは、、驚きました。

そして、しっかり素晴らしいドキュメンタリー映画を仕上げたことを本当にすごいというか誇らしいと思います。

こちらの映画はジュレー・ラダックさんによりまた上映会が行われるようなので、ぜひぜひ多くの方に見ていただきたいです。

というか、できればエシカルペイフォワードで上映会をやりたい、、、。



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