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キャリアコンサルタントの本棚#12

「人を動かすナラティブ なぜ、あの「語り」に惑わされるのか」
あなたの「物語(ナラティブ)」が狙われている不安や怒りを煽り、社会を分断する「情報兵器」のメカニズム。新聞協会賞2年連続受賞&ボーン・
上田記念国際記者賞受賞の ジャーナリスト、待望の最新刊!」

本書は、ジャーナリストの大治朋子さんが、近年国内外で起きたさまざまな事件や現象の背後に潜む「ナラティブ」のメカニズムとその影響力を解き明かした一冊です。「ナラティブ」とは、物語や語り、ストーリーなどとも訳される英語の表現ですが、物事や出来事に対して、人々が自分の視点や経験を通じて語ることを指します。また、ナラティブは、私たちの感情や行動を左右する力を持っています。しかし、私たちはその力に気づかずに、無意識的にナラティブを語り続けています。本書では、SNSやAI、脳神経科学などの視点から、ナラティブがどのように人間の心を動かし、社会を分断する「情報兵器」になっているのかを分析しています。

この本を読んで、自分の頭の中にあるナラティブに関して、改めて思いを馳せました。日常のの出来事について、自分はどう思っているのか、どう感じているのか、どう行動しているのかということ。ポジティブなもの、ネガティブなもの。そしてそれらは、他人のナラティブ、同僚、友達、家族、そしてメディアからの影響は受けていないのだろうか。そのナラティブが、本当に正しいのか、自分にとって良いのか、よく考えることが必要だと感じました。

本書では、ナラティブが人を動かす力を持つ一方で、人を惑わす力も持つことを示しています。特に、SNSやAIなどの技術が発達した現代では、個人や集団、国家や企業などが、自分たちの利益や目的のために、ナラティブを操作したり、悪用したりすることがあります。ケンブリッジ・アナリティカ事件やトランプ現象、テロや陰謀論などなど。本書で取り上げられた事例を見ると、世界はそこまで進んでおり、「ナラティブ」に飲み込まれないようにしなければ、という危機感も募りました。

本書からは大きなインパクトを受けました。ナラティブの大きな力を知ることにより、余計に、「対話」「関係性」「共感」「理解」といった言葉が響くようになり、こうした事柄に興味、関心が高まりました。



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