【新・蹴日本紀行】代表ウィークでのささやかな旅の思い出<札幌〜東京〜関西>
やっと終わった──。何が終わったかといえば、書斎の掃除。そして留守中の郵便物と取材中の領収書の整理である。
6月2日から14日にかけて、日本代表の4試合を取材してきた。すなわち、2日のパラグアイ戦@札幌、6日のブラジル戦@国立、10日のガーナ戦@神戸、そして14日のチュニジア戦@吹田である。本大会を想定した、中3日での4連戦。久々に地上波での中継もあったので、ご覧になった方も多いことだろう。
試合内容については別媒体でのコラムに譲るとして、本稿はOWL magazineらしく、この代表ウィークを「旅とフットボール」という視点から振り返ることにしたい。前回につづいて『新・蹴日本紀行』と銘打ったが、そのオリジナルについては、Vtuberの冬原そのさんによる書評動画をご覧いただきたい。
Jリーグの遠征と違って、ホテルと試合会場を行き来するだけのイメージが強い代表戦。それでも今回は(特に関西では)旅要素が比較的多い代表ウイークとなった。書斎の掃除も終わったので、札幌から国立、さらには関西での取材の日々を振り返ってみることにしたい。
羽田から札幌に旅立ったのは、パラグアイ戦当日の6月2日。久しぶりの北海道ではあったが、前日に大学の講義があったため、今回は1泊のみ。札幌到着後、すぐに試合を取材して、翌日にとんぼ返りという慌ただしい旅程となった。
札幌ドームを訪れたのは2019年以来。ただしこの時はサッカーではなく、ラグビー・ワールドカップの取材だった。カードはイングランドvsトンガで、すすきの周辺はビールを何杯もおかわりするイングランド人たちで溢れ返っていたものだ。3年ぶりにこの場に立つと、この間の世界の変わりようについて、考えをめぐらさずにはいられない。
試合前、5月1日に80歳で亡くなった元日本代表監督、イビチャ・オシムさんに黙祷が捧げられた。そういえば2011年8月にも、ここ札幌ドームで松田直樹さんへの黙祷が行われたことを思い出す。オープンエアのスタジアムとは異なり、ドームでの黙祷はことさら厳かに感じられる。
札幌を訪れる時は、ジンギスカンとラーメンと寿司は必ず食すようにしている。しかし今回は食事のチャンスが限られていたため、空港レストランで寿司と蕎麦の定食をいただいて、何とか一矢報いることができた。全国一の産地ということで、北海道は蕎麦も美味い。
かくして、慌ただしい札幌取材が終了。移動して、取材して、コラムを書いて、また移動して。代表戦はこの繰り返しである。せめて後半戦の関西での取材は、もう少し現地の風物を楽しむことにしたい。そう、北海道の上空で心に誓った。
6月6日は、東京・国立競技場でブラジル戦を取材。国立での代表戦は2014年以来8年ぶり、さらに国立でのブラジル戦となると1999年以来23年ぶりという希少性もあり、この日の入場者数は6万3638人を記録した。これほどエンタメ感を覚える競技施設は、都内でもそれほど多くはない。今後も定期的に代表戦を開催してほしいところだ。
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