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本田さんとハナツくん


本田さんはおうちの中にいる。


『あんなこといいな』
『できたらいいな』 


本田さんはたまにこんなことをいう。でも今日もおうちの中にいる。


お隣に住んでいるハナツくん。今日もお外に出かけて行った。ハナツくんはとてもよく目立つ。目立つからいろんな人からよく声を掛けられるようだ。


本田さんは窓からその様子をただ見ていた。


『あんなこといいな』
『できたらいいな』 


本田さんはたまにこんなことをいう。でも今日もおうちの中にいる。


ある日、いつものように本田さんが窓から外を眺めていると、ハナツくんがうちにやってくるのが見えた。


何だろう。


ぴんぽーん



本田さん「はいー。」
ハナツくん「やぁ!げんきかい?」
本田さん「うん、まあまあかな」
ハナツくん「そうかあ!それならよかった!たまにはさ、一緒に外にでない?散歩でもしようよ」
本田さん「いやぁ、ぼくはいいよ。外に出たら雨が降るかもしれないし、ものすごい風が吹いて飛ばされちゃうかもしれない。だから僕はいいよ。」
ハナツくん「まぁまぁ、そういわずに!きっと楽しいことがたくさんあるよ!」


そう言われて本田さんはハナツくんに手を引かれながら外に出た。


すると本田さんは驚いた。外は広かった。窓枠からは見えなかった景色があたり一面に広がっている。日の光がいつもよりまぶしく感じた。そよそよと風がほほを撫でた。なんだか外も悪くないな。そう思った時だった。


『あんなこといいな』
『できたらいいな』 


本田さんがいつものようにこんなことをいった。するとそれを聞いていたハナツくんがこういった。


ハナツくん「え?本田さん、そんなことしたいの?だったらすぐそこにいる僕の友達を紹介するよ!すぐ叶えてくれるよ!」


本田さんはびっくりした。そしてハナツくんは本当にすぐ友達を紹介してくれて本当にそれは叶った。そしてハナツくんは言った。



ね、外に出るのもわるくないでしょ。



***


『本当は』という気持ち。
叶わなかったらどうしよう、誰かに何か言われたらどうしよう。と気持ちに保険をかけて自分の中でそっと眠らせていたら、いつの間にかそんな『本当は』がなかったことになってしまう。自分をゆさゆさしてみよう。つんつんしてみよう。そして自分の中の『本当は』に気づいたら、自分の外に放してみよう。話してみよう。そしたらきっと、素敵な出会いがまっているから。一人だけでは叶えられないこともきっとあるから。


そう気づかせてくれた友人へ、感謝の気持ちを込めて。いつもありがとう。


***

仲間と共に、今ここに。本当の自分に気づく。




















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