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暗黒メモ「福祉大国ニッポンの終焉」 

 あらかじめ断っておくのだが、今日も今日とて「note運営にどこまで行ったら怒られるか」チャレンジをやりたいがためにこの記事を書いたわけではない。その点はどうか信じてほしい。

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 先日、日本社会の基本的序列構造の根幹として長年にわたって君臨してきた「偏差値至上主義」が終焉に向かっていることを解説する記事を書き、たいへん大きな反響があった。

 「偏差値至上主義」が急速な終わりを迎える背景として、インフレと人手不足を背景とした若年労働者の売り手市場があることを述べた。

 空前の売り手市場となっている現在は、あえて大卒でなく高卒や専門卒でも多くの(好待遇な)若年層向けの求人が世の中に出るようになっており、また手に職をつける技術者は、語学やITのスキルを組み合わせれば、まったく新しい働き方によって大きな利益を得るチャンスも増えてきている。

 他方でこの国の社会秩序を支配していた「偏差値至上主義」が終わることで、大幅な変更や衰退が余儀なくされる産業や業界は少なからずある。

 たとえば学習塾・予備校業界などはその代表的な例であるといえるだろう。高偏差値の大学・学部に入学することが万人にとって目指すべき絶対的な最適解であると世間に広く合意されていること、それこそがこの業界の価値の源泉になっていたことはいうまでもない。よって高偏差値の大学・学部のプレミアが減少し、そこを目指すことにインセンティブが失われてしまえば顧客数の減少は免れえない。ただでさえ少子化が加速する時代において、「高偏差値こそ正義」という共同幻想が失われてしまえば、瞬く間に業界の存亡にかかわる危機的状況となるだろう。

 だが世の中を見わたしてみると、学習塾・予備校業界よりもずっと、時代がつくった「偏差値至上主義」という社会構造に依存し、これの瓦解によって大きな影響を受ける業界が存在する。それが――

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