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映画独り言。(名付けようのない踊り)

今日はダンスの撮影をする予定だったが、急遽撮影場所の工事の関係で延期となった。

運よく、観たかった映画「名付けようのない踊り」公開初日ということもあり、朝一番で観てきた。

友人の出演する映画を観るため何度か通った映画館。久しぶりだった。通っていたのは2008年。13年前・・・ミリオン座は2019年に移転し、新しくなっていた。

ちょうどウェス・アンダーソンの映画も公開されており、愛に溢れた掲示物やディスプレイ。

この映画は地元でも観られるため、近くではここでしか観られない「名付けようのない踊り」のチケットを購入。

満席ではなかったが、かなり多くの人がいた。

ギリギリに到着した為、心の準備もなく始まる。

この映画は、ダンサー田中泯を2年に渡って密着して記録した映画。

田中泯と聞いて俳優を思い浮かべる方が多いと思うが、ダンサー、舞踏家である。モダンダンス、クラシックバレエを学び独自スタイルで表現している。

私の住んでいる岐阜にも、場踊りに来ていた。知らなかったのが残念。
2012年に岐阜県が主宰する円空賞を受賞され、羽島大橋の近くでダンスを披露した。羽島市は円空ゆかりの土地。

後に、岐阜県主宰のAAIC(Art Award in the cube展)の審査員として岐阜で講演された。

↓岐阜県美術館 講堂

↑写真は嫌いだけど拡散してねと言っていた

この時は幸い、お世話になっている先生がAAICの実行委員をしていたこともあり、貴重な話が聞けるからと教えてくださった。

「田中泯はどのように美術に関わってきたか?」

言葉がなかった時代、どうやってコミュニケーションをとっていたのか。踊りは人と人を通じ合わせた。今の世界には言葉があふれているけれど、口から出る言葉は、常に身体が頷く言葉であってほしい。僕たちは身体から出ていけない。自分の言葉とどう生きていきたいのか、身体がくっついていく言葉を探してください(AAIC記録より)

ちょうどこの頃からダンサーをしている友人を撮影していたこともあり、とても興味深かった。

「この空気感っていうのは、映像には残せないんですよ。この場所、この時だけのもの」

その言葉を聞いてから、私はその時の展覧会でしかみれないものを作り始める。
確かに、映像では表せない。
でも、残すことができる。

講演会では、全裸でダンス(局部には包帯)して逮捕された時の事も話していた。

「所持品、包帯。以上!って言われたんですよ。ちゃんと隠してたじゃないですか。」
会場から笑いが起きた。

映画でも全裸でダンスしていた頃が記録されていた。自分を消すために、眉や髪を剃り、全裸でその場に溶け込むように踊る。

逮捕後、海外で活躍していた事も話されていたが、映画では海外でのパフォーマンスやマスメディアが絶賛している様子、客が歓喜している姿。実際に目の当たりにして衝撃を受けた。

日本では逮捕、海外では絶賛。
その違いに悔しくて涙が出そうになった。

ドイツでダンサーとして活躍している知人がいる。

「日本でダンスしていると、一体いつになったら就職するんですか?まだ遊んでるんですか?って言われるんですよ。だから僕は日本では生きられない。チョコチップクッキーだって、同じ値段でドイツでは3倍くらい大きいんですよ。」

端正な顔立ちと美しい肉体美を持つ彼はそう言った。

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映画では様々な場所でのパフォーマンスも観れた。まさに自分が今日撮ろうとしていたこともあってちょっと悔しかったり。

真っ黒なオイルプール、水の中、夢の島。
中谷芙二子さんの霧の彫刻とのコラボもあった。
中谷芙二子さんも、円空賞受賞作家。この時、美術館の依頼で霧の彫刻を撮影したので良く覚えている。

ダンスの為に体作りをするのではなく、野良仕事をして生きるために体を作り、ダンスをする。ダンス、芸術という概念を飛び越えている気がした。
自分をみている人の間にダンスが生まれたら最高、みている人もダンサー。

どこまでも自分に正直に生きる姿。
改めて思慮深く、自分の作品に向き合おうと思った。

↓映画について詳しくまとめられた涼夏さんの記事。

http://cafemirage.net/archives/3776

観賞後、チョコラータを頼んだ。
マシュマロをみて、キック・アスが観たくなった。
次はフレンチ・ディスパッチ観なきゃ。

終わり


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