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SMAPはジャニーズの音楽をアップデートしたヒーロー。

SMAPが残した功績なんて今更僕が書くことでもないけど、九十年代からの彼らの音楽の素晴らしさは書きたい。
95年にリリースされた007は傑作といっていい。このアルバムがリリースされるまで、ジャニーズの音楽は芸能の完全な一部であり、アイドルファンが聞くファンの為のグッズに近い歌謡曲だったように思える。

それまでのジャニーズの音楽は、国内の名編曲家や作曲家、作詞家、それに名プレイヤーが携わっていたけれど、あくまで音楽職人として個々のアイドルの従来のイメージに準拠するように関わっていたと思う。

つまり音楽アーティストとして扱われてなかったのだ、ジャニーズ物は。

その固定されたイメージをSMAPが変えた。
それまでのアイドルではあまり起用されることがなかった作曲家、編曲家、そして特筆すべきは海外のレジェンドミュージシャンの起用方であろうか。

テンションや分数コードを嫌味なく使った洒脱な楽曲群のなかで、嬉々として演奏するニューヨークやロスの凄腕ミュージシャンの腕白ぶりは、ジャニーズ物などに耳を貸さなかった層をもざわつかせたのだ。
なんてことだ、オマーハキムがキムタクのサポートでドラムたたいてるぞ、といった評判も、痛快だったに違いない。

一部の音楽ファンや関係者の、ジャニーズはお金があるから出来たのだ、と言った批判めいたものも目にしたことがある。しかし、当時の音楽産業はバブルの頂点に向かう途中、メジャーメーカーなら大きな予算を組めた筈である。しかし、ほぼ誰もSMAPと同じことをしなかった。

後になって我々にも同じことが出来た、だのというのはダサい。少しばかり馬鹿馬鹿しくても挑戦した者がかっこいいのだ。
あんな事ならおれにも出来たよ、なんて居酒屋でのたまう大人のダサいことったらないでしょう。

米国のレジェンドミュージシャンと日本のまだ人気が程々だったアイドルグループとの組み合わせ、荒唐無稽とも言える組み合わせを実行したSMAPと彼等の製作陣はかっこいいのである。

音楽シーンに残した痕跡を考えると、アーティストとしてSMAPはもっと評価されていい。
タレントしてではなく、ボーイズグループとして日本の音楽産業にとんでもない一石を彼等は投じたのだから。

僕にとってSMAPは、アイドル音楽の価値をアップデートしたヒーローである。







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