猫の見ている世界
猫はかわいそうだと思った。
実家の猫はいつも寝てばっかりで、ほとんど家からでない。
そんな猫を見ていて、ふと、かわいそうになった。
こいつは日本はおろか大都会東京も見ることなく、
田舎の片隅の半径1キロ未満の小さな世界しか知らないで死んで行くんだ。
そんなことを、昔付き合っていた彼女に話すと、
彼女は遮るかのように語り出した。
「キミんちの猫ちゃんは、全部知ってるんだって。
東京のことも日本のことも、そして世界中のことも。
ぜんぶ知った上で、ずっーと寝ているの。
ひなたぼっこしたり、こたつでまるまったり。
人間って、なんて欲張りで、強情で、
どこへ行ったって人間関係がわずらわしくて、
いやになっちゃうなんて思いながら。
そんな世界なら
ずっとごろごろしていた方がましだって悟ってるんだよ」と。
ぼくは、その通りだとおもって、なにも言えなかった。
新たなコンテンツの制作のために大切に使わせていただきます。何に使ったかは、noteにてご報告させて頂きます。