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TETSU.co/バレーボール・セミナー

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バレーボールのコーチングやテクニックに関する考察を発信します。実際に過去に行ったクリックで用いたマテリアル(資料情報)等もアップしたいと思います。
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記事一覧

「コーチzero」#02概論②~バレーボールの指導を見直す「"当たり前"の落とし穴/今何がわかってきたか?」

(写真FIVB) 提起したいのは、過去の否定ではなく、「現在起きているミスマッチ」 このnoteでも、日本のバレーボールの練習や指導方法のアップデートや改善について提起してきました。しかし一方で、バレーボールの指導現場に身を置く者として実感するのは、練習方法や練習内容になかなかアップデートが進まない、拡散していかないもどかしさがあるということです。指導者の過去の選手時代に経験した成功体験があったり、指導キャリアにおける過去の成功体験、自信が尊敬する指導者の指導理論の継承や導

バレーボールのコーチングを学ぶ場がない・・・オンラインMTGの振り返りとアップデートの必要性

ZOOMを活用した、バレーボールをみんなで考えるオンラインミーティングを企画して実施してみました。そこからさらに、サブスク型(有料)でのオンラインサロンによるバレーボールミーティングへの展開となり、サブスクでMTGを2年間取り組み、2023年5月で一区切りを終えました。それまでの振り返りです。 始まりは、コロナ禍中の「バレーボールの学びを止めるな」から~MTGのあゆみ2020年になってから、日本にも拡大した新型コロナウイルス感染症における「コロナ禍」では、世の中の様々な活動

(バレーボール学会)バレーボールの⼀貫指導実現のための階層構造の検討

 2022年3月に行われた 日本バレーボール学会 第27回大会 で発表する機会を得ましたので、その発表内容をブログでシェアいたします。  私自身としましては、2018年3月に行われた、バレーボール学会第23回大会で発表させて以来の発表の機会となりました。 (前回の発表内容にも関係するのでリンクです↓)  4年前の実践・発表の内容の取組の基盤を再検証える考察となっています。   日本のバレーボールでは、なぜ技術指導の内容が何十年も変わらないのか。代表チームを筆頭に、世界のバ

質の良い刺激、質の良い対話

(写真FIVB)  問われるコーチング力、問われるコーチの資質 (公財)全国高体連バレーボール専門部から、今年、2021年10月7日付で、「高等学校バレーボールの適切な指導の在り方について」という文書が、高校バレーの部活顧問、コーチ、スタッフ向けに出されています。  内容は、高校バレーに限らず、日本のバレーボール界、とりわけ高校以下の小学バレー、中学バレーのカテゴリでも重要なものなので、みなさんとシェアしたいです。内容がとても具体的で、みんなで起こっている事象を評価するのに

「神経戦」としてのバレーボール

「ストレス」を与える攻防 「ストレス」に対抗するプレー 相手のやることがわかることによるストレス 相手が何をしてくるか分からないことによるストレス  実は、バレーボールのゲーム(試合)では、一つ一つのプレーのパフォーマンスや完成度の高さ、難易度の高いプレーによる競い合いだけではなく、「相手のスペックを落とす」、「相手が意図する戦術をさせない」競い合いも重要だと考えています。  どんなスポーツ競技でも、選手の「メンタル」の充実は必要不可欠であり、その差が勝敗につながることも多

「WHY JAPANESE PEOPLE!?(Volleyball)」

筆者は、あまり海外に出てバレーボールを実践した経験は少ないものの、それでも数少ない渡航の際に見聞きしたことや、日本国内で出会った海外からやってきた外国人コーチや選手とのインタビューなどを通して、彼らが日本のバレーボールの練習やトレーニング(練習)現場に対して見ていることに、たくさんの共通点があることを知りました。 WHY JAPANESE PEOPLE!? ~コーチング&練習編  今回は、日本のバレーボールにおける練習や指導(コーチング)についてです。 まず最初に、日本の

コーチがもちたいバレーボールでの心がまえ(練習・ゲーム)

 バレーボールの指導をはじめて十年以上たつことになりますが、従来重視されてきたことよりも、もっと重点化されなければいけないと思うのが、 ・タイミング ・ポジショニング ・シーアンドリアクト の3本柱となるテーマだと思っています。  これに対し、日本での旧来型な指導は、「カタチ」と「正確さ」と「スピード」を重視するものだったと思います。もちろん、これらは全く不必要だとは思いませんが、求める優先順位が違うのではないかと考えています。 【練習におけるコーチの心がまえ】◆なぜネ

バレーボールの「チーム力」を考える

バレーボールにおける、チーム力やゲームの勝敗の分析が、データやエビデンスはもちろんのこと、ちゃんと正しくなされるべきだと思う時があります。  特にアンダーカテゴリで勝敗における激しい競争がなされるとき、その勝敗の分析が正しくなされないと、指導方法や指導理論みたいなものにも悪い影響を与えることもあり得ると考えています。特に、勝ったチームの取組がどうしても模倣されやすいわけですが、その勝ったチームの勝っている要因がどういうものなのか?という点は重要だと思います。  「サーブミスで

なぜ「試行錯誤」なのか?(勉強会2019より)

実は「学ぶ」機会が少ないバレーボールコーチ バレーボールの勉強会を企画、実施しました。各地から立場やキャリアの違う熱心な方々がディスカッションをしながら進める会となりました。  題して、   明日からの練習がワクワクになるバレーボール勉強会   育成現場指導における「イノベーション&アップデート」 午前は、座学の参加者全員によるディスカッション 午後は、オンコートレクチャー 内容は、大変多岐な話題に及び、情報が多すぎてまとめきれないのですが、これからのバレーボール界特に育

ブロックは、能動的、積極的なものである

 ブロックは重要であり、ゲーム中における戦術的機能や、作戦思考、練習の重点においても、もっと焦点があたるべきプレーだと思っています。  日本では、そんなブロックが練習ではなかなか重点化されず、特に育成世代の練習ではおろそかになりがちな現状があるというのも、当ブログでは何年も前から指摘させてもらっているところです。それが日本のトップレベルのゲームにも反映されており、なかなか世界に追いついていない感が、ゲームの様子からうかがえるような気がします。 指導者講習や生徒たちへのクリニ

枝葉にとらわれないデータの活用~アタッカーの優位性の勝負

データ、エビデンスが求められる現代のバレーボール「どうすれば勝てるか?」 そんなことを知りたがる人はとても多いです。  どんな練習をすればよいのか?  どんな戦術をすればよいのか?  どんなフォームがいいのか?・・・。 しかし、「どうすれば?」の問いかけの多くが、ハウツーに偏ったものだったり、個別のスキルの正解を求めていたり、「これだけやれば勝てる」という妄想という名の思い込みが、「手段の目的化」となっていたりするっような気がします。  当ブログでも、二元論的思考の危うさや

「Aパス」の概念とは「カウンター攻撃できるええパス」

セッターの定位置にファーストタッチのボールをパスする「Aパス」とは、 セッターのセットアップ定位置にファーストタッチが返球されることで、セッターはすべてのアタック・ヒットが選択できる状態を生み出せる。 「定位置」というものには、そもそも規定やルールはありません。 ここが重要だと思っていて、 セッターは、ゲームにおいては、ネット付近に移動をしセットアップをするわけです。そこから、だいたいどの位置にもセットアップできそうなニュートラルな位置を、いわゆる「セッターの定位置」

バレーボールでの経験則・主観・印象操作を打破せよ

「オフ・ザ・ボール」~プレイヤーへの印象操作をなくせ エビデンスやデータの活用の大切さやその活用の在り方についてもっと議論が進めばいいなと思います。そして、それに基づいた実況や解説がなされると、視聴者だけじゃなくバレー関係者にももっとバレーボールの理解が広がっていくのではないでしょうか?  これまで、バレーボールの戦術論や指導論の中には、少なからず、プレーヤーの経験則や感覚に頼ったものが少なくなく、根拠に乏しいものもあったからです。特にテレビで解説されている方の多くは、ご自

(バレーボール学会)育成世代におけるこれからのあるべき指導考察

2018年3月に行われた 日本バレーボール学会 第23回大会 で発表する機会を得ましたので、その発表をブログでシェアいたします。 カテゴリで分断された短期選抜強化の当たり前を打破する試み  このブログ記事の中に、  もしもゼロからチームをつくってみたら(2年半の総括)  という記事があります。 これは、バレーボール部がない学校に新規で部活動を立ち上げ、その始動にあたっては、従来の指導方法や育成プログラムではない、アップデートされたバレーボールの技術指導やコーチングに関わ