技術系スタートアップのエコシステムを構築し、新しい産業を地域で育む。私たちTEPが目指すもの。
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技術系スタートアップのエコシステムを構築し、新しい産業を地域で育む。私たちTEPが目指すもの。

最先端の研究や技術開発の成果をもとにビジネスを立ち上げ、産業を底支えするテクノロジーを扱うスタートアップ。
TEP(テップ)は、そんな技術系スタートアップのエコシステムをつくることを目指して活動している団体です。

今回のnoteでは、私たちTEPについてあらためて紹介いたします。

つくばエクスプレス沿線に、技術系スタートアップのためのエコシステムをつくる

TEPは正式名称を「TXアントレプレナーパートナーズ」といいます。もともとは、つくばエクスプレス(TX)の沿線に多数存在する研究機関などの「技術シーズ」の事業化を加速していくための支援組織として立ち上がりました。

TEPでは、スタートアップを中心にしながら、その事業成長に必要なメンバーを「エコシステム」として位置づけています。TEPの構成メンバーは多岐にわたり、「技術」と「経営」双方の視点をもった専門性の高いサポート会員や、個人的投資を行うだけでなく自らハンズオン支援も行うエンジェル会員、スタートアップの成長過程において事業連携先などとして重要な役割を担う大手企業などのコーポレート会員、沿線地域を中心に立地する大学・研究機関や行政、公的支援機関などのアドバイザリーボードにまで至ります。

TEPでは、個々のスタートアップ企業に直接関わり、専門相談やメンタリング、エンジェル投資を行う個別支援のほか、沿線地域の大学・研究機関や行政のスタートアップ支援担当者と密に連携し、特定組織・地域等に属するスタートアップを育成・支援するエコシステム連携型のスタートアップ支援にも力を入れています。この個別支援とエコシステム連携型の支援の両輪が、TEPの主な活動になります。

地域行政も巻き込んだエコシステム

設立は2009年、すでに10年以上活動を続けています。当時の日本にはスタートアップに対する支援体制は今ほど充実しておらず、エンジェル投資やスタートアップのためのエコシステム構築という考え方も、まだ浸透していませんでした。設立メンバーでもある後藤良子理事は、TEPの目指すエコシステムについて次のように語ります。

tep概念図

後藤理事:
TEPが始動した2009年は、ITバブルが弾けたあとで、投資家たちの肌感では「ベンチャー企業」(当時はスタートアップというより「ベンチャー企業」の方がよく使われていました)の印象もあまりよくなかった時代。ましてや技術系のスタートアップに対しては、時間もお金もかかるため、投資先としての評価はかなり低かった時代です。

シリコンバレーのスタートアップの成長環境を研究し、現地のエンジェル組織や大学、アクセラレーター等とも交流があったTEPでは、設立当初からスタートアップ成長のためのエコシステムをつくるという構想がありました。
大きな産業創出につながる技術系スタートアップを輩出するためには、創業期から成長期にかけて様々な支援が必要であり、支援側はその役割を担いながらも、それぞれのwin-winの関係に好循環させていく、というのがエコシステム構築のポイントです。

シリコンバレーでは、エコシステムは自然発生的に構築されていました。スタートアップも投資家も日本とは比べ物にならないくらい数が多く、それにまつわる専門家などの支援者や、連携に興味を持つ大手企業も集まっているからです。しかし日本では背景にある社会文化が違います。そのためTEPでは、日本なりのやり方でエコシステムを構築していく必要があると考えていました。各組織が縦割りになりがちな日本で、結果的にエコシステムが構築されるためには、同じ目標感を共有しながら相互連携するプラットフォームを意図的に設定する必要があると考え、今のTEPのような形を構築しました。

設立当時より、地域の行政とも理念を共有し、連携体制を確立したことで、行政の支援する企業に対して、民間によるさらに深い支援が必要なときにTEPを紹介していただくという座組みを構築しました。公平な立場での支援が求められる行政にとっては、各企業の個別ニーズに合わせたハンズオン支援は難しく、TEPと連携することがメリットとなりました。

当時、TEPが行政からの紹介を受けて、ハンズオン支援やエンジェル投資を行い、今では日本を代表するスタートアップとして成長した企業の例として、人工衛星のアクセルスペースが挙げられます。

技術系スタートアップのビジネス化には、長期の支援体制が必要

アクセルスペースは、小型人工衛星の開発製造を行い、宇宙からの観測データを使った地球観測プラットフォーム「AxelGlobe」を展開している、国内外から注目される宇宙スタートアップです。2021年3月には「AxelGlobe」のための4基の衛星が打上げされ、今後のさらなる活躍が期待されています。

アクセルスペースの設立は2008年、その翌年2009年にTEPと出会い、VCによる大型資金調達と「AxelGlobe」の構想を発表したのは、設立から7年後の2015年になります。

TEPからは、5人のエンジェル投資家が出資や経営参画を行い、特にベンチャーキャピタル(VC)による大型投資までの期間を中心にサポートしてきました。アクセルスペースのCEO中村氏は、技術系スタートアップにおけるエンジェルの役割について以下のように語っています。

アクセルスペース CEO中村氏:
短期的な成果を求めるIT業界とは違い、長期的な成果を求める技術系企業にはTEPのエンジェルの方々のような存在が本当に大きいです。時間がかかっても、辛抱強く応援してくれる人が必要なんです。
(2015年インタビューより抜粋)

技術系スタートアップの事業化には長い期間が必要となります。スタートアップが設立したばかりの、事業の全体像がはっきり見えていないなかで支援を受けるには、技術と経営の両面がわかるエンジェルやメンターの存在が重要となってきます。

参考:TEP Story:宇宙を身近にする「技術力」と「ビジョン」 ー 1社に1機、超小型宇宙衛星の時代がやってくる
https://www.tepweb.jp/story/vol-001/

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技術シーズからビジネスの展開を見出す、経営のプロの視点

TEPが支援する技術系スタートアップの多くでは、大学や研究機関などで研究や技術開発を続けてきた研究者たちが創業者となります。そうした創業メンバーは多くの場合、ビジネスや経営に関しては専門外で未経験者です。多くの時間やお金を投じて開発した技術も、社会普及のためのビジネス化に向けては違うノウハウが必要となり、プロの支援が必要となってきます。

TEPにはサポート会員と呼ばれるメンバーがいて、スタートアップに対するメンターの役割を担っています。経営と技術の両面からビジネス全体を見渡してアドバイスが可能なジェネラルなメンターのほか、弁護士、公認会計士、弁理士、コンサルタントなどで、自身でも多数の事業経験がある人たちも少なくありません。

後藤理事:
技術シーズの応用の幅が大きい場合などは、最初に手を付ける事業を見つけるために、マーケットの状況や将来展望を理解するビジネスのプロの視点が重要になります。特に研究者が起業する場合は、技術そのものの唯一性などに着目しがちなことも多く、市場性や将来的な事業展開に繋がらないこともあります。

多くのTEPメンターは、一度支援に入るとコミットメントの意識が強く、スタートアップとの信頼関係が末永く強固に築かれることも少なくありません。ビジネスライクではなく、本気で事業を伸ばすという目標に一緒に向き合っていくことが、ビジネスの成長加速にもつながります。

地域から考える新産業創出のカタチとは

後藤理事:
これまでに似た組織の前例が無かったことから、設立当初はTEPの存在を不思議に思われたことも多々ありました。現在では多くのプログラムにおける連携実績でスタートアップ企業の成長を実感いただいており、各機関との連携事業も広がってきています。

TEPは、もともと千葉県・柏の葉キャンパスシティの街づくりの中で生まれた構想です。当時、柏の葉キャンパスの秘めたポテンシャルとしてTX沿線に多く集積する大学や研究機関に着目し、研究者の様々な技術開発の話を聞いて回りました。すると、このエリアには世界トップクラスの技術が沢山あるものの、事業化が上手く進んでいないという共通課題があることがわかったんです。

そこで、TX沿線の大学や研究機関に集積する技術シーズをビジネス化し、地域全体として産業の創出を目指すTEPを設立することになりました。

産業創出は1つの市域内でできる話ではなく、もっと大きな単位で考えていく必要があります。TEPの活動は、「一企業や一自治体といった枠組み、公や民の枠組みを超えて、日本の未来の産業創出に繋がるものであるべき」と考えています。

TEPのあり方が、地域における産業創出のひとつのモデルになればいいなと思います。

この数年で、行政や大学・研究機関などを中心としたアドバイザリーボードとの連携が一層加速しています。特に近年は、茨城県内で多くの取り組みが行われており、筑波大学でのアントレプレナーシップ教育や、行政とともに地域の中小・ベンチャー企業へのサポートも実施しています。

技術系スタートアップのさらなる醸成のために

日本にまだ、エコシステムという考え方がなかった2009年から10年強。支援してきたスタートアップも少しずつ事業が拡大してきました。技術系スタートアップに対してはまだまだ支援が必要ではありますが、日本にも独自のエコシステムが少しずつ作られてきています。
TEPでは毎月のプレゼン会に加えて、2016年より技術をビジネスのコアコンピタンスとした事業で、グローバルな成長が期待されるベンチャー企業を「J-TECH STARTUP」として認定し、技術系スタートアップへ注目度を高める活動も行っています。

TEPではこれからも、産業構造の変革を志すような技術系スタートアップへの支援を通して、日本発のユニコーン企業を生み出す基盤づくりを行っていきます。サポート会員やエンジェル会員、スタートアップと連携したい民間企業など、各会員も随時募集しています。興味のある方はぜひウェブサイトをご覧ください。

イベントのお知らせ
日本能率協会(JMA)主催の展示会「テクノフロンティア2021」(@東京ビッグサイト)にて、TEPの特設ステージ&ブースが設置されます!
開催期間は、2021年6月23日(水)~6月25日(金)。会場は東京ビッグサイト 青海展示棟です。 参加は無料です。

TEPのポートフォリオ企業や、J-TECH STARTUP認定企業のプレゼンやブース設置のほか、豪華ゲストを迎えたパネルディスカッションも予定されています。
スタートアップ企業との連携を検討されている企業の皆様に必見の内容となっておりますので、是非ご参加ください。

■パネルディスカッション
6月24日 13:10-14:40  JMA×TEP共同企画(1)「Startupと大企業連携」
 TXアントレプレナーパートナーズ 代表理事 國土 晋吾 氏
 旭化成 常務執行役員 久世 和資 氏
 株式会社S’UIMIN 代表取締役社長 藤原 正明 氏
 NSマテリアルズ株式会社 代表取締役 金海 榮一 氏

6月25日 14:30-16:00 JMA×TEP共同企画(2)
「イノベーション促進のための技術系スタートアップのエコシステム構築」
 TXアントレプレナーパートナーズ 副代表理事 尾崎 典明 氏
 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) イノベーション推進部長 吉田 剛 氏
 株式会社メトセラ 代表取締役 Co-Founder, Co-CEO 野上 健一 氏

申し込みはこちら


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「TEP Deep Tech Journal」は日本のディープテック・スタートアップのエコシステムを強くしていくための情報を発信していきます。TEP(TXアントレプレナーパートナーズ)が運営しています。 https://www.tepweb.jp/