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『お坊さんにならう こころが調う 朝・昼・夜の習慣 (お坊さんに学ぶシリーズ)』(著:平井正修)

【内容】
臨済宗の禅僧である著者が、禅の精神や知恵を、普通の人が日常の生活の中で実践出来るように解説した本。


【感想】
著者の禅についての考え方や実践を、一般の人にも実践出来るように解説しているのは、それはそれで興味深く読みました。

が、それ以上に、僧侶であった父親やその師である僧侶について話は、より面白いと感じました。

父親から家業としてお寺を引き継いだ著者の禅との関係性などは、普段知ることの出来ない僧侶の家族関係についても書かれていたのも興味深かったです。
僧侶である父親の師にあたる方は、血のつながりのない方で、お寺の壁には父親の師の写真が飾られていた。著者やその兄弟が小さい頃は、その血の繋がりのない男性の写真を見ながら、雰囲気がそっくりなので、父の写真であると語り合っていたのだそうです。
果たしてこの話が、お坊さんの家ではよくある話なのかどうかはわからないのですが…
血の繋がりのない人間の元に修行に入って、師匠の背中を見て、師匠に近付いていった人間と、お寺で家族として育てられ、そのお寺を継いでいくというのでは、その在り方は自然と違ってくるのだろうなあとも思ったりしました。

仏教が、様々な形で日本の文化の太い幹として存在しているのだろうなあと感じたりもしました。
最近読んだ村上春樹の自叙伝的な本『猫を捨てる』でお祖父さんが浄土宗のお坊さんであったとか…
夏目漱石の小説が当時の禅宗の教えの影響を受けていたとか…
宮沢賢治を父親の視点から描いた小説『銀河鉄道の父』で、国柱会経由で法華経の強力な影響があったとか…

あくまでも作品のクオリティは、作家本人のパーソナリティーや文才があってのものではあることは大前提ではありながらも…
そこで描こうとしていたものをより深く理解するためには、そうした仏教などの知識や理解は不可欠なのではないかとも思ったりしました。

https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2194-2

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