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『上流階級 富久丸百貨店外商部 其の二』(高殿 円 著)

【内容】
アラフォー女性の静諸が、老舗デパートに転職したが、富裕層顧客専門部門である外商部配属されることになる。
静諸は、富裕層顧客からの数々の無理難題に悩ませながらも懸命に奮闘する。


【感想】
単純にものを売るというより、顧客と様々に結びつくことで信頼を勝ち取っていく…

今回は日本の上流階級のより深く描きつつも、婚活、ヤクザの愛人、高級ランジェリーと様々な切り口から物語を展開させていっていました。
色んな引き出しがあると感心しつつも、よく調べているし、そうしたエピソード1つ1つが有機的に結びついていって、ちゃんと話がまとまっていくのも面白かったです。

そして、想像の斜め上行く展開で、ラストシーンは本当にグッと来ました。
エンタメ作品として、本当によく出来ているなあと…
お仕事小説における社会科見学な面白さ、キャラクター小説としての面白さ、アラフォー女性の社会的なあり方とか、働き方についてとか、日本社会についてとか…
建前論的な学校の論理では語られることのないリアルな感覚をエンタメにするって、ある種健全なエンタメのあり方なのではないかと思ったりしました。
異世界ものや転生もののような現実逃避するような方向性の作品ばかりではなく、こうした物語ももっと受容されたり、アニメ化されたりすると良いのになあと思ったりしました。
(まあ、昨今の異世界ものや転生ものは、何周も回って、既に現実の世界のリアリティを描いているような作品もあるように感じますが…)
安易に恋愛ものとかにしないのも、今風といえば今風でもあるのではあるとも思いますが、しっかりと人間とか社会を描こうという意思も感じられたりもしました。

https://www.shogakukan.co.jp/books/09406662

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