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『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』(加谷 珪一 著)

【内容】
他の先進国が消費を拡大する中、なぜ日本だけが沈み続ける原因は、緊縮財政でも消費増税でもなく「日本人の性格」である。
「優しさ」「思いやり」「絆」の像とは裏腹に、じつは猜疑心が強く、他人の足を引っ張るという隠れた国民の本性を解説していく。

※ネタバレ(?)します。

【感想】
なかなか辛辣なことが描かれていました。
世界的な意識調査や、今まで書かれた日本人論の山本七平の『空気の研究』とか土居健郎の『「甘え」の研究』など、夏目漱石を始めとした近代文学など、ネガティブな日本人の性質を語ったものを引き合いに出しながら、日本人のネガティブな面を描き出していました。

日本人は、自分が損をしても他人を陥し入れたいという傾向、スパイト行動が強い…つまり、人の足を引っ張る人間が多いとか…
新しいテクノロジー、イコール、他人の利益になることを嫌う…
人生における選択肢が少なく、極端な自己責任論が横行している…
新型コロナウィルスに感染した時の日本人の態度の酷さ、中でも新型コロナにかかった人間は自己責任論であるという率が、諸外国から桁外れに高い…
そうした日本人の傾向が、日本の失われた30年を産み出しているとのことでした。

ここまで直接的に書いて分析されると、こういった傾向が強まった組織は結局どうにもならない状態になって苦労した経験が思い浮かんだりしました。
海外の事情はわかりませんが、まあわりとよくある話だよなあ…
それを前提に賢く生きていくというのが、日本社会の常なのだと思ったりしました。
昔からの日本のエスタブリッシュメントのしてきたように、自分とは違った所得層や階層の違う人たちと交流しないとか…
地元に根差したような日本の古くからの資産家は、一見地味な恰好をして、贅沢な暮らしをしていないとか…
そうした結論に落ち着くのだと思ったりしました。

まあ、そんなこと言ってると日本はどんどん活力を失い、経済力も失い、世界的な地位も失い…
まあ、それはそれで現実を見つつ、自分の出来ることをやっていくしかないんだろうなあと、平凡な感想に辿りついたりしました。

※画像は生成AIで作成しました。

https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344986435/

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