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ざざんざ織 取材

M.K
【ざざんざ織の魅力】
①    圧倒的肌触りの良さ→人の肌と同じタンパク質でできているから!
②    唯一無二の質感と味→いい意味で「絹織物」のイメージをひっくり返す!驚くほど軽い!のに自分全体をも高めてくれる気品と飽きの来ないデザイン,奥があるお洒落がしたい人におすすめ
③    生活に寄り添ってくれる絹→普段着・日常に馴染むビジュアル,洗濯できる便利さ,自分へのご褒美,大切な人へ贈りたくなる一品。カジュアルからフォーマルな雰囲気まで対応できる。変化のない毎日に色を落とすこと間違いなし!

【知る人ぞ知る…一歩踏み込んだ魅力】
①    明治時代から残っている機織り機で1つ1つ手作り→200~400本の糸を同時に操る!
②    糸を染める段階から手作業!何回も繰り返され作り出された色味
③    2頭の蚕が作った貴重な玉繭,かつては捨てられていた繭玉を使った無駄のない製品
→抑揚がある太目の糸が織りなす表情
④    日本でここだけ!静岡県の指定伝統工芸にも選ばれた絹織物,名前の由来は「松風の音」

私たちが今回お邪魔したのは静岡県浜松市にある「ざざんざ織 あかね屋」さんである。工房見学は通常受け入れられていない。熱意だけで実績がほとんどなかった私たちを「特別に」ということで受け入れて下さった平松さんにはこの場をお借りして改めてお礼申し上げたい。学生の私たちに対しても分け隔てなく,常に親切にお話してくださる平松さんとの時間はあっという間に流れていき,考えられないほど貴重で充実した体験が終わった。今回Instagramで投稿した品々はその際に貸していただいたものである。信頼していただけたという喜びと大きな責任感,そして「絹を普段使いして欲しい」という平松さんの想いを絶対に伝える,という覚悟のもとモデルの丹羽さん,カメラマンさんに協力してもらい今回の撮影を行った。
話は変わるが,ざざんざ織は県指定の伝統工芸品である。国指定の伝統工芸品でさえ後継者不足・売り上げ減少と問題が山積みになっている現代だ,県指定の工芸品を作り続けることが容易いわけがない。私たちがしていることは本当に小さく,微力にすらなっているか分からないが,この活動で1人でもざざんざ織を欲しいと感じ,日常を少しだけ豊かにしてもらえたらとても素敵だと私は思う。
「伝統工芸を再び人口に膾炙させたい」そんな私たちの想いと,私自身も身に着けたいと感じたざざんざ織の溢れる魅力が少しでも多くの人に届くことを心から願っている。

C.C

ざざんざ織だからこそ生まれる模様の豊かさや作り方などのざざんざ織そのものに関するお話から、ざざんざ織を始めた経緯など、職人さん自身のことまでたくさんのことを聞かせていただいた。 工房見学に行く前の織物のイメージは、高貴なもので、堅苦しく特別な日に使うもの、というイメージだった。 しかし、職人さんはざざんざ織を"嗜好品"ではなく"普段使いできるもの"として使用してほしいと思われていて、商品化しているものも生活に取り入れ安いラインナップなのを知れて、一気に親近感が湧き「私でも使っていいんだ、使えるんだ」と感動した。一般の人が伝統工芸品によく触れられるようになるには、使い方や触れ方において職人さんとのギャップを減らしていくことがカギなのではないかと感じた。 ただ、昔から受け継がれてきたものとして、伝統の重みや格式を大切にしたいと感じる人がいるのも事実だと思う。気軽さと伝統の重みのバランスを上手く調節することが今後の課題だと感じた。 一方で、職人さんによると、20代の男性5人組という、伝統工芸品と最も縁遠そうに見える人たち(主観)が購入しに来たこともあるそうなので、今は市場が小さくなっていても、まだまだ伝統工芸品が世に広まるポテンシャルは十分にあり、そのキッカケやタイミングを逃さないスキルを身につけることが必要であると感じた。


N.S
私はカメラマンとして取材に同行し, 写真を撮りながら平松さんのお話をお聞きしていました。最初に驚いたのが機織り機です。昔ながらの手動織機で, 染色した玉糸1本1本を綜絖(そうこう)や筬(おさ)に通し, 織ってゆく姿は壮観であり, これぞ日本の伝統的な家内制手工業だなぁと思いました。普段我々が身に付けている物は化学繊維が多いですが、このざざんざ織は昔ながらの絹糸を使用しているため, 独特な艶や肌触りが有ります。絹は高貴な物で特別な時にしか使えないというイメージを私も持っていましたが, 普段使いして欲しいのが職人さん側の思いで有る訳で, 普段使っている物を工芸品に変えて生活するということは, 日本の良さを再発見できるとても素晴らしいことだと思います。私の使命は“見たものを写真で記録すること”でしたが、写真だけでは伝わりにくい, 職人との関わりや作業風景を知ることで初めて魅力が分かる。それが伝統工芸品という物なのではないでしょうか?


S.D
工藝品や今回取材をさせて頂いた絹織物, いわゆるシルクといった嗜好品等はどうしても高価で扱いが難しいというバイアスがあると感じており, 使うに使い辛いという一つの気持ち的デメリットがあると思っている. 実際に祖父の作る漆器も, 私は毎日使っているけれど, 「壊したらどうしよう」や「高価だから大切にしないと」, 「扱いが難しそう」といった気持ちから使う事を躊躇ってしまう事が多いのではないかと感じる. そういったユーザーのハードルを下げるといった点でざざんざ織は, 普段使いできるものというコンセプトで販売等をおこなっているため, それが斬新で面白く, 工藝品に親しみやすい1つの形になるのかなと感じた. そしてこういったコンセプトは, 色々な年齢層の人たちに幅広く使用してもらうことの一助になるのではないかと感じる. ただもちろんそういったコンセプトを全ての工藝品に当てはめるのは極めて難しいと感じるが, 実際に使ってみるハードルを下げる一つの方法としては良いと思う. 今回の工房見学は, 実際に足を運ばないと見ることができない機織り機や, 様々なサンプルや商品を見て手に取り, 触れることでモノの良さや魅力といったものを強く実感できた. 商品としての工藝の良さを発信していく上で非常に良い勉強になった回だった.

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