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映画「グリーンブック」いつまでも見ていたい男2人の友情の余韻に酔いしれる。

いつまでもこの2人を見ていたい。。

心からそう思った。

この映画を観に行く前、英会話の先生(アメリカ人)が、ちょっと僕には平坦だったかな、と言っていた。

とんでもない!

ストーリーは予告編で大方分かってしまうほど、シンプルなものなのに

あまりに2人のキャラクターとバディ的化学反応が素晴らしくて

私にとっては、彼ら2人を観ていることが、最初から最後までずっと目が離せず、彼らの会話の一つ一つがたまらなく面白く、終始幸せな気分だった。

孤高の天才黒人ピアニスト、シャーリーを演じたマハーシャル・アリの気品に背筋が伸び、深い葛藤と叫びに心震わされる。ピアノ指捌きも驚異的な説得力。

しかし、私にとってそれ以上だったのは、ヴィゴ・モーテンセン扮するトニー。

ガサツで乱暴で下品で口達者で他にもれず黒人差別もある男が、観れば観る程、好きになっていく。

それは彼の心の芯にあるピュアさと優しさが滲み出ているから。

妻に対する溢れんばかりの愛情、不器用にも手紙を懸命に書き、それをシャーリーが指南し、奥さんが涙を流す、この定番のくだりも観ていてなんと心潤う楽しさだろうか。

ひょっとするとここ10年で一番はまり役と思ったキャラクターがロバート・ダウニー・Jr.のトニー・スタークで、一番凄いと思ったのが、ヒース・レジャーのジョーカーだが、ヴィゴ扮するトニーのことは一番好きになってしまったかもしれない。

この作品は決して黒人差別を高らかに訴える作品ではない。

あくまで心に沁みる2人の男の友情物語として普遍的なものだ。

人としてどう生きることが美しいのか、そんなエッセンスがぎっしり詰まっている。

黒人差別の色濃い南部にあえていくシャーリーの尊厳を重んじる生き様に勇気づけられると共に

トニーには、彼が父から継いだ100%全力で生きるという指針そのままに、家族を愛し、食を楽しみ、人間と向き合い、人生の酸いも甘いも身体で味わい尽くして、一度しかない人生を最大限に楽しむ力をもらえた気がする。

観終わった後、しばらく経っても、じわーっと温かい気持ちで今も尚、私の心は満たされている。

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